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"Wherefore art thou Romeo?"
シェイクスピアの代表作『ロミオとジュリエット』で、バルコニーからジュリエットが、真下に居るロミオに語りかける。 
"wherefore"はどこ(where)ではなく、なぜ(why)の意味である。
時を経てこのような単語はなくなってしまった。
もちろん、当時は"blog"のような新しい単語も存在していない。

言語は、雲のように絶え間なく変化する。
昨日見た雲が、まだ今日も空に浮かんでいたり、明日も見れるような事は、とても不自然である。同じように、言語も常に変化するように出来ている。

英語ではしばしば発音と表記が一致しない。
'name'はかつてnah-muhと発音されていた。それが、語末の'e'を発音しなくなり、'a'が二重母音になったことで、現在のようにnaymと発音されるようになった。

発音だけではない。文法も変化した。
千年程前の英語では、動詞は文末に置かれていた。
そして、代名詞も変わった。
かつては目の前にいる人たちの事を、'you'の前身である'thou'であらわし、格言などの一般的な呼びかけを表す時は、'man'を用いていた。
現在はどちらも''you'である。

言語が変化する事は、多くの別の言語を生む原因でもある。
もしも言語が変化しなかったのであれば、私たちは、アフリカで生まれた時のままの、単一の言語を使っていただろう。
しかし私たちは、各地に散らばり新たな土地で新たな言語の形式を採用した。
中国語の声調、アフリカの言語の吸着音や、概念、単数形複数形など違いを生み出す結果となった。

言語が、永遠に全く変わらぬ姿を保っているものは、唯一、印刷である。
誰にも話されず、本に書かれたものしか存在していないラテン語を、私たちは死語と見なしている。
しかし、教室で学ばれているラテン語は、決して死ぬことのない言語の一つの段階である。ラテン語は、フランス語やスペイン語、イタリア語へと、形を変えていっただけである。

人間の短い人生では、その変化は誤りと認識される。
フランスが国家として成立する以前、その土地の官僚や学者達はラテン語を話していた。彼らの周りで話される初期のフランス語は、Fランク(出来の悪い)のラテン語であったという。
いわゆる若者言葉である。
それらの差は、古典英語と現代英語と、同じ過程なのである。

参考文献
John McWhoeter, "7 Why do languages change?"
E. M. Rickerson, Barry Hitton, ed., The 5 Minute Linguist (USA; Equinox Publishing Ltd., 2006)

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