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遂行文の仮説
発言を通して行われる言語行為に関して考えるひとつの方法は、すべての発言(U)のもとには、前述の例6のような、発語の力を明確にする遂行動詞(Vp)を含む節があると仮定することである。これは遂行文の仮説(performative hypothesis)として知られ、もとにある節の基本的形式は例10にある。

例10
I (hereby) Vp you (that) U

この節では、主語は、第一人称単数でなければならなく、副詞句の「これによって」が続き、発することでによって行動と見なされる発言であることを示唆している。現在時制の遂行動詞Vpもあり、間接目的語の二人称単数もある。例11のb. と例12のb. のように、この下層の節はいつも明確に、例11のa. と例12のa. のように発言の中の、潜在的なものである。

例11
a. Clean up this mess!
b. I hereby order you that you clean up this mess.

例12
a. The work was done by Elaine and myself.
b. I hereby tell you that the work was done by Elaine and myself.

(普通"hereby"は無いが、)例11のb. と例12のb. のような例では、明示的遂行文(explicit performative)という。例11のa. と例12のa. のような例は、暗示的遂行文(implicit performative)といい、原初的遂行文(primary performatve)と呼ばれることもある。
この種の分析の特徴は、発言の生成と解釈にどんな要素が関係しているのかを明らかにすることである。統語論では、"myself"のような再帰代名詞が、同じ文の構造の中での先行詞"I"の発生を要求する。例12のb. での明示的遂行文は、"I"要素を供給する。同様に、誰かに"Do it yourself!"というとき、再帰"yourself"は、明示的なバージョン(I order you that you do it yourself)での先行詞"you"によって可能になっている。その他の特徴は、例13にある"honestly"のような副詞や"because I may be late"のような副詞句が自然に、暗示的なものより、明示的遂行切に付随するということである。

例13
a. Honestly, he's scoundrel.
b. What time is it, because I may be late.

例13のa. では、遂行動詞の伝える部分が、"honestly"によって行われており、例13のb. では、遂行動詞の尋ねる行動が、"because i may be late"によって正当化されている。
遂行文の仮説の、技術的な弱みもある。たとえば、例11のb. のような明示的遂行文を言うことは、a. のような暗示的な発言よりも非常に深刻な印象を与える。この2つのバージョンは、それゆえに、同等ではない。発言にとって遂行動詞(あるいは動詞)はどんなものなのか正確に知るのは難しい。話し手と聞き手は例14のa. のような発言を侮辱として認識するだろうが、明示的なバージョンとしてb. のような文章は非常に不自然である。

例14
a. You're dumber than a rock.
b. ? I hereby inult you that you're dumber than a rock.

本当に実際の、明示的遂行文の同定をもとにした分析に関する問題は、原則では、純粋に、私たちは言語の中にどれほど多くの遂行動詞があるのか知らないことである。全ての動詞と区別し、全ての遂行動詞の可能性をリスト化するかわりに、言語行為のタイプの振り分けがもっと一般的に使われる。

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