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社会的な伝播あるいは領土を横切る地理的な拡散として見た言語の波

すべての人間集団で、すべての人間の慣習に当てはまる原則がある。
常に、二つの原理が同時に作用していることである。
一つ目が、言語を分断する原理。地元贔屓の力。
あるの地域で生まれる習性があり、その中で育ち、それを身につけた人々によって、言語の、無限の多様性を生じさせている。
二つ目は、言語を統合する原理交雑の力。
さまざまな習慣を持つ人々が移動し、戦争などによって人々が集まることによって、人々を混ぜあわせ、近づける。
交雑によって、どれかが消え、どれかが拡散することになる。そして伝播してゆくものによって、統一化、均質化される。
何が消え、何が残るかを予め知ることはできない。

交雑の観察。
拡散にはかなりの時間が必要である。拡散は一気に起きず、だんだんと時間をかけて伝播してゆく。
ドイツ語の「(第二次)子音推移」というものがある。
600年ごろに南アルプスで生じ、200年ほどの月日をかけてゆっくりと北上、ドイツ語圏すべてに拡散していった、音韻変化である。

地理的多様性は時間的要因のみで生じる、とした最初の主張を修正しなければならない。
空間の多様性は、時間の中で捉えてこそ意味がある。
しかし、地理上の拡散では、音声上の要因から生じた刷新が、周辺に模倣されることによって起こる。
伝播は地理的要因によってのみ、進む。
時間のほかに、地理上の要因というものを考慮しなければならない。

ラテン系言語での「半分、中間」と言う単語の時間的推移。
 A地域 medio→mejo
 B地域 medio→medzo
上記のようなものを考慮するときは、時間のみに還元することができる。
しかし、拡散と伝播で考えるべきは、mejoとmedzoの力関係である。
一方が、もう一方を、地理的に征服する可能性が、ある。

参考文献
フェルディナン・ド・ソシュール著 影浦峡、田中久美子訳
『ソシュール 一般言語学講義 コンスタンタンのノート』 東京大学出版会 2007

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