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発話事象
例23のような間接的要求を、私たちは、その場で要求に必要な条件であるかどうか尋ねるものとして扱うことができる。たとえば、予備条件は、話し手が話し手が行動を遂行可能である、あるいは出来る、と仮定していることである。内容条件は、将来の行動に関し、聞き手が行動を遂行するだろうことである。これらを例24に例示している。

例24
間接的な要求
a. 内容条件
 聞き手の将来の行動(= hearer WILL do X)
 Will you do X?
b. 予備条件
 聞き手が遂行可能である。(= hearer CAN do X)
 CAN you do X?
c. 要求のための聞き手基準の条件を尋ねることは、結果的に間接的要求になる。

例24の. にあるように、だれかにXをやるようにお願いするのと、Xをするための前提条件を尋ねるのには、明らかな違いがある。技術的に前提条件を尋ねることは、要求とは見なされないが、聞き手が、まるで要求されてかのように反応することを許可する。要求は話し手から聞き手への強制であるから、社会的な状況では、話し手は、直接的な要求による直接的な強制は避けた方が良い。話し手が前提条件について尋ねるとき、直接的要求は用いられない。
いままでの議論は基本的に、1人の人間がその他の人に、拒否や攻撃の原因にならないように何かをさせることについてであった。しかし、このタイプの状況は、1つの発言によって成り立つものではない。これは、必然的になんらかの社会的な関係をもつ参加者、それから、特殊な場合では特定のゴールを持っている参加者に関係する社会的な状況である。
このような状況でなされる発話のセットを、発話事象(speech event)として観察できる。発話事象は、成果を生む慣習的菜方法でおこなう、参加者がことばを通じての交流する活動である。文句をいう発話事象としての"I don't really like this"のように、明らかに中心的な言語行為を含んでいるだろう。しかし、またそれまでの会話と、そのあとに続く中心的な行動に対して反応のその他の発話も含んでいある。多くの場合、要求はひとつの発話によって突然なされるのではない。例25のように、要求は典型的な発話事象である。

例25
Him: Oh, Mary, I'm glad you're here.
Her: What's up?
Him: I can't get my computer to work.
Her: Is it broken?
Him: I don't think so.
Her: What's it doing.
Him: I don't know. I'm useless with computers.
Her: What kind is it?
Him: It's a Mac. Do you use them.
Her: Yeah.
Him: Do you have a minute?
Her: Sure.
Him: Oh, great.

例25で与えられる相互作用は、要求の中心的言語行為なく、要求発話事象と呼ばれるだろう。彼から彼女にして欲しいことへの実際の要求は無いことに注目しよう。"Do you have a minute?"という質問を、聞き手は、忙しいとか他の用事があるとか言うことができる、事前の要求としてみなすだろう。この文脈では、"Sure"という返事が、時間があると言うのを知らせるだけでなく、言外の行動を遂行する意思をも示す。発話事象の分析は明らかに、話されたこと以上のものがどうやって伝わっているかの研究のひとつの方法である。
言語行動の分析の有用性は、
ことばで行うことができるものの描写や、特別な行動のための慣習の発話形式の同定などである。しかし、発話事象のなかでこれらの行動がどう伝えられどう解釈されるのかを理解するためには、より多くの相互作用を見る必要がある。

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