通訳になるには何が必要なのか。
良い辞書があれば、誰でも翻訳が出来るのか。
通訳は、聞くのと話すのを同時に行い、辞書も引けない。
彼らの仕事は、機械のように単語を吐き出すことではなく、「意味」を伝えることである。
多くの意味は、声色や語と文のニュアンスで伝えられるので、彼らの仕事は逐語訳とはまったくことなる。
そして、責任が重い。
裁判での、裁判官と陪審員の言語を話せない被告人を想像してみると、通訳の仕事の重みがわかる。
誰もが2つの言語を簡単に訳せる訳ではないので、誰かがしなければならない、その誰かが、通訳なのである。
通訳は話された言語を扱うが、翻訳家は書かれた言語を扱う。
有名なホワイトハウスとクレムリンを繋ぐ「ホットライン」は電話ではなく、暗号化された高速のデータ通信で、ほとんどが文字情報である。そのため翻訳家が必要である。
プロの翻訳と通訳になるには何が必要か。
ただ単に2つの言語を知っているだけではない。それはスタート地点である。
通訳は、第二言語を話せる事だけではなく、2つの文化と、俗語や方言の使用、それから話題に関連する知識が必要である。
かれらは並外れた記憶と、通訳の訓練がなければならない。
翻訳は、通訳と同様の、2つの言語の膨大な知識を持っている事が出発点である。
多くのプロの翻訳と通訳は、特定の学術的分野の学位を持っている。たとえば、機械、建築、内科、弁護士などである。
翻訳や通訳は「職務執行令状(writ of mandamu)」や「肥大型心筋症(hypertrophic cardiomyopathy)」などの専門用語を使用する。このような単語の意味を知っていなければならない。
翻訳家はまず、1つの言語で書かれた内容を理解し、それから、他の言語に書き直すのである。
簡単にいうと、翻訳は言語に関するものではなく、言語が述べている事に関する仕事である。
ではどのようにしてプロフェッショナルになるのか。
まず、機械や薬学や経済など、1つの分野に特出している事が望ましい。
多言語社会に埋めれていると有利だが、生まれつきバイリンガルでなくても、その後勉強すればかなりの能力が身に付く。
そして、翻訳や通訳の技術の質は、訓練と練習の問題である。少なくとも修士課程を修了するべきである。そして、翻訳協会のような機関の認定を受ける。
それなりの時間がかかることだが、翻訳と通訳は儲かる仕事である。
言語サービスの業界はアメリカだけでも110億円の市場である。そしてEUの誕生により、人や製品、思想の行き来が盛んになった今、ヨーロッパでは認定された通訳の需要が膨大にある。
全ての分野で、質の高い翻訳と通訳が不足しているのである。
Kevin Hendzel, "44 Why do we need translators if we have dictionaries?"
E. M. Rickerson, Barry Hitton, ed., The 5 Minute Linguist (USA; Equinox Publishing Ltd., 2006)
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