Speech and wrighting
文字文化では、書かれたものが基本的な文化伝達の手法と成り、法律や聖書のように文書によって行動が規定される。そこでは書かれた文字が大きな権威を持つ。
言語が書き言葉を指し、文法は書き言葉の分析に基づく。
消えてゆく構造を持ち、研究に向かない話し言葉は、文法の規範に正しくしたがっていなく、書き言葉と関係が少ないと見なされやすい。
近年、口述の信用性が高まり、録音と分析の技術の大きな発展により、話し言葉を言語語学的存在として認めることが出来るようになった。
話し言葉や書き言葉を扱うことは、様々な文体の性質をもった様々なタイプのコミュニケーションを一般化することである。
しかし、普通、書き言葉と話し言葉の生産と解釈は全く異なる過程を経る。
ほとんどの会話は相互作用がある。会話は話し手と聞き手の両者によって、順番に話し、遮って、返答を差し挟んで、互いの発言を受信して、必要な説明と詳細を加えることで、成り立つ。
書き言葉は独白である。書き手は、その場で反応を得られない。分かりにくい箇所があると、それを解決することが出来ないため、結果的に書き言葉では、分かりやすい構造と表現が重要となる。
これらの話し言葉と書き言葉の物理的媒体によるコミュニケーションの差異のために、この2つの言語が、それぞれ異なる文法的性質を持っていることは驚くべきことではない。
Building phrases, clauses, and utterances
複雑な素材を使用するのに、書き言葉では、中止したり、思案したり、書き直したり、訂正することができる。
止まらな話し言葉は、多くの構造を保持し組み立てる記憶の許容量によって制限されている。
そのため、読者は、聞き手よりも複雑な言語を読み取ることが出来る。好きな速度で読み、必要ならば過去に戻ることが出来るが、聞き手は自分の好きな速度で聞くことが出来ない。
以上の理由から、書き言葉は、比較的情報が濃くつめられた、建築的な構造をもつ傾向がある。一方、話し言葉は、よりぼんやりとした要素の、一直線に続く構造を持ちやすい。
また、書き言葉の名詞句(NP)は、核である名詞の周りに、定詞、形容詞、名詞、後置修飾などが含まれる大きな構造となる。話し言葉の名詞句(NP)は修飾語が少なく、特に主語は1つの代名詞がほとんどである。
そして、話し言葉では、別々の句や節で表現されることを、書き言葉ではよく名詞化(nominalize)する。
書き言葉は、長くてとても複雑である。複雑な埋め込み文を持つ、とてつもない階層的組織が可能である。
このようなことは話し言葉にはあまり無い。話し言葉の節に含まれる単語数はだいたい平均7語だが、改まった書き言葉はその2倍である。
話し言葉は実際、文として分析することが難しい。話し言葉は、発話と緩く結びついた、句や節の一直線の構造からはみ出ているように見える。構造的な階層を成すというよりかは、追加の方法である。例えば、以下のようである。
'So there's nobody here, so if you could, if you could come in for a couple of hours, in case the gas people come.'
Reference and context
言語の分析のためには、文や節、句などとして分かりやすくして、小さな単位で観察することがよい。
しかし、言語は普通もっと大きなものである。例えば、会話や歌、演説、広告、手紙、願書、法案、詩、小説などである。
話し言葉でも書き言葉でも、コミュニケーションを成功させるためには、これらのテキストは構造的でなければならず、そして結果として、主に大きな言語の集合体と関係している、文法的様相がある。
テキストを構成する時に重要なことは、参照の調節である。
一度、特定の人やものに言及したら、人はもう一度言及するだろう。しかし、同じ形で何度も繰り返されるのは効率が悪い。「ある日赤ずきんちゃんは、赤ずきんちゃんのおばあさんに荷物を届けることになりました。赤ずきんちゃんはまず森を通って・・・」のようになる。
言語は語彙の繰り返しを許容するために言語は大きく変化するが、前方照応(anaphoric, back-referring)代名詞を使用することによって、この繰り返しに対応することが多い。例えば、「その人」「それ」「今私が話していたその人」である。
この形式を使うことによる効率の良さは、正確さと引き換えに成立している。従って、必然的に曖昧さが生じる。たとえば、「アンはベアリースに、彼女はひどい失敗をしたと伝えた。」
英語のように代名詞が少ない言語だと、この曖昧さは大きくなり、参照する名詞の分類がたくさんある言語では小さくなる。しかし、一般的に、この曖昧さは簡単に防止し解決することが出来る。
名詞の他にも、句が代用法(pro-form)によって要約することが出来る。例えば英語では、既に述べられた動詞や、形容詞や関係詞節、目的語を置き換えることが出来る。'I've already done it.', 'We would oppose such a decision.', 'I hope so.'
参照の明確さが必要の無いときもある。既に述べられ、文脈から特定することが出来る場合、省略(ellipsis)が一番効率が良い。例えば、このような会話がある。'Why did you do that?', '(I did that) to annoy you.'
参照の方法は書き言葉と話し言葉でも異なる。
多くの書き手は、知らない人に対して書くので、当然、文脈や知識を共有出来ない。従って、書き言葉は話し言葉に比べて、代名詞が少なく、名詞が多い。
一方、話し言葉は今、此処に固定されている。会話の文脈は話し手の精神状態や共有知識や言葉のやり取りにより成立するので、発話されない情報を多く含んでいるだろう。'Look at that!'のような指示詞は、話し言葉によく使われる。
そして話し言葉では、'so'や'do'や'one'のような単語と代用されることが多い。省略は、日常的な会話でよく見られる。それら不完全な発話は、2人の話し手の発話によって完成するだろう。
'Given' and 'new': information flow and topic-maintnance
テキストは、既に与えられた(given)古い情報と新しい(new)情報を統合することによって、どんどん増加して組み立てられてゆく。
結果として、情報の地位を明らかにすることが求められる。
英語の冠詞の複雑なシステムは、定性を表す。書き手と読み手、話し手と聞き手が既に知っている特定出来るものを参照しているのかをどうかを示す。例えば'the'は、既に話しているものなど、特定出来るものにつく。'a'は、以前の話題には上がらず、特定出来ないものにつく。
定冠詞や同等の屈折などを持たない言語では、このような方法で定性を示すことは出来ない。
しかし、情報の新旧は語順によって示すことが出来る。テキストは、旧-新の順番で構成される事が多い。文や節は、同然であると見なされるたり、既に知っているものから始まり、大事な新しい情報は最後にくる。
多くの言語では、主題(topic)を文法化することによって対応する。主題が提供されるこの構造では、節の最初に分離して配置される。主題は主語である必要は無い。例えば、'The lecture, I thought I was going to die of boredom.'
英語では、特に書き言葉では、主題が文法的な主語となりやすいが、これは英語の語順で節の頭には主語か来るからである。したがって、英語の主語は、'the'の付く定性であることが多い。
話されている状況や行動において、主題となる人や物が、動作主であったり主要な参与者である場合は、このような主題と主語の混同は問題にならない。むしろ、自ずから一致するだろう。
しかしその他の場合では、主題を主語の位置に持ってくるために、動詞や構造を選択し、語彙的あるいは統語的なごまかしが必要となる。英語には自動詞/他動詞の動詞の組み合わせが豊富にあり、このような工作が得意である。このような主題の操作は、能動、受動の切り替えにも重要である。
英語の話し言葉では、よく主題と主語が切り離される。
さまざまな主題-解説の構造が、聞き手が整理するする時間を与えながら、同時にメッセージの一部を担うことが出来る。例えば、'Last Wednesday it was, I was just going to work, ....'
節の後ろに、情報を配置することで付け加えることも出来る。例えば、''They work very hard, most fo them.
話し言葉の実体である音声が、微細で複雑なテキストを扱うことが出来る。
多くの言語が抑揚(intonation)によって、どれが背景であったり、古い情報であったり、共有知識であるかと、どれが焦点となる情報であるかを示すことが出来る。
古い情報は、不完全を示す上昇の抑揚を呈し、新しい情報は、完全を示す下降の抑揚を呈する。この点に置いて、話し言葉は書き言葉よりも、語順への依存度が低い。
音韻論的な特徴は、空間的な焦点や強調を指し示すことも出来る。'She only played tennis with Mr. Anderson on Friyhdays.'は語順だけでは曖昧な文であり、発音によって完成される。
書き手は、このようなニュアンスをその他の方法で表さなければならない。下線や斜体などの見た目での情報は限りがある。抑揚や休止などの話し言葉による効果とあまり変わらない。
語順を変えることで問題は解決するだろうし、分割もよいだろう。'She played tennis with Mr. Anderson only on Friyhdays.', 'It was on Friydays that She played tennis with Mr. Anderson.'
Michael Swan, Grammar(UK; Oxford University Press, 2005)
---Oxford Introduction to Language Study Series
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