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広く共有された大衆文化は、方言を追い出してしまうのだろうか。
今も新たな方言が生まれているのだろうか。
 
アメリカ合衆国には少なくとも4つの'bought'の母音の読み方が存在する。
'awe'か'ah'か、もしくは南部の田舎'ow'に近い発音か、生粋のニュー・ヨーカーを風刺するのに使われる'wo'だろうか。
炭酸飲料には、'pop''soda''tonic''co-cola'それにアパラチア山脈地方の方言'dope'などの単語がある。
都市の環状道路を自転車で走る時はその道路はなんと言う名前か。'a beltline'か'a beltway'か'a ioop'もしくは'a perimeterか'。
銀行から現金を引き落とす機械は'a bank machine'か'an automated teller'か'a cash machine'もしくは'ATM'か。
 
私たちは、方言を避けることが出来ない。
そして多くの場合、それは他人方言にしか見られないので、ボストンから来た人も、メディシンハットから来た人も、みんな「私の住んでいるところでは方言を話さない。みんな普通の英語を話す」と、同じ意見を言うのである。
もちろん人々は異なった母音の発音をするし、同じものに対して異なる単語を使うのである。
 
方言はどこにでも、都会にも田舎にもある。
方言を用いずに、言語を話すことは不可能である。好き嫌いに関わらず、私たちはみんな方言に直接関与しており、それは避けられない。
 
では、人々が活発に動き回り、頻繁に旅行に行き、携帯電話で話し合うような、地球全体のコミュニティーでもそうなのか。
メディアや、人々と情報の流動性によって、方言が無くあることがあるだろうか。
方言学者は、「方言は、北部や中部、南部の有力な方言によって消え去ってしまう。それら有力な方言は200年後まで生き残る」という噂を否定している。
アメリカの北部と南部の口語は、今まさに、さまざまな方言に分かれている。統一されるような動きは無い。
北部のシカゴとバッファローでは異なる発音を確認することが出来る。
その変化はとても捉えがたいので、確認出来なくても当然なのだが、アメリカ北部の中で、南部や西部の方言がだんだん分化していっているのは事実である。
 
孤立している訳でもない地方で、現在でもまだ方言が変化し分化していることは、非論理的に聞こえるかもしれない。
しかし、言語はいつだって変化している。
もちろん私たちはみな、同じテレビ番組で同じニュースキャスターの言葉を聞いているが、それはあまりにも非人格的である。
方言は日常生活での相互作用によるものであり、私たちがどれだけ地元のコミュニティーに溶け込んでいるかを知る指標となる。
 
世界的な文化を侵略する多くの地域も存在するが、それらは、強い地方共同体の観念によって追いつめられている。
ピッツバーグの人々は、ピッツバーグ語を話すことを誇りに思っているし、ピッツバーグ人になりたかったらピッツバーグ語を話すのが良い。
 
一方、危機的な方言もある。観光客によって、孤立した山や島の人々が話している方言が、危機に陥ることもある。
だが、それらの言語はピッツバーグの人々のように自分たちの言語に誇りを持っているし、方言は観光客と地元の住民を区別するのに便利である。
 
驚くべきこととして、多文化の影響が大きいシアトルや北カリフォルニアなどでは、今まで無かった方言を目立たせることによってに、地元の人々のアイデンティティーを表わそうとしている。
 
伝統的な方言が滅ぶこともあるだろうが、まるでモグラたたきのように、新しい方言が取って代わるだろう。
それらの死の噂は、誇張されるものだ。と、有名なマーク・トウェーンの言葉がぴったりである。
方言は生き残るし丈夫である。それに、地域と社会文化的風景の重要な一部分を担っている。
 
Walt Wolfram, "41 Are dialects dying?"
E. M. Rickerson, Barry Hitton, ed., The 5 Minute Linguist (USA; Equinox Publishing Ltd., 2006)

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