第6章?、静態言語学
一般言語学の範疇の多くが、静態言語学に関するものである。
ある法則が、静態言語学に属するものなのか、静態言語学と歴史言語学の両方に属するものなのかと言う判断は、なかなか難しい。
両者の対象はかなり異なっているが、本質的に比較することは出来ない。
静態言語学では、言語の状態全てに共通するものを扱う。項の関係と価値を扱う。
その中には一般文法(仏 grammaire générale)も含まれる。一般文法は、言語の状態を通してのみでしか観察されない、項の関係を説くものである。
歴史言語学は、静態言語学よりも、対象をはるかに簡単に捉える。
項の変化を追うことはさほど難しい主題ではないが、とても魅力的な領域である。
静態言語学において、状態の境界を定めることは難しい。次元を持たない点の集まりが線になるように、不明確でなければならない。
言語の特徴に変化が無かった期間を状態と呼び、ひとつの状態には決まった期限は存在しない。
状態は、時点(時間上の点)ではない。しかし、同じ状態の認められる期間内において、複数の時点は共通しているので、時点と期間は似たもの意味している。
時代の捉え方と似ているが、史学の時代は、革命に始まり革命に終わる。物事を変化させようという意図が絡んでくる。
言語学の状態には、そのような概念は無く、偶然に始まり偶然に終わる。
期間があることで状態はとても複雑なものになるが、それ以外の定義は難しい。
数学でも微細な数値を無視するように、ものごとの説明には単純化が必要である。
加えて状態には地理的な境界がある。
フェルディナン・ド・ソシュール著 影浦峡、田中久美子訳
『ソシュール 一般言語学講義 コンスタンタンのノート』 東京大学出版会 2007
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