1977年に宇宙へ送り出されたボイジャー宇宙探査機には、宇宙人が人間の言語のサンプルとして聴けるように、55言語の短い挨拶が録音されている。
それには英語も含まれているが、それは、どんな種類の英語だろうか。
私たちみんなが文章を理解する事ができ、母国語の他に、まぁ適度に話す言葉が出来るような言語として、英語を捉えているだろうか。
英語は簡単なアルファベットで表記するし、主要な文法や語彙は広く知られている。
しかし様々な言語と同様に、英語には土地柄があり、イギリス式とアメリカ式の2つの種類が統治している。好敵手であるこの2つの英語は、世界統治の為に、磨きをかけられ洗練されてきた。
ある文脈では、アメリカ英語がトップである。
イギリス英語から派生した多くの方言の一つが、母体であるイギリス英語と、圧倒しないまでも、競争するまでになった。
アメリカ英語はどのようにしてその地位まで登り詰めたのか。アメリカ英語は、正当性では無く、権力によって優位を手に入れたのである。
英国は帝政時代に、世界に英語が広がる程の信頼を得た。しかし、文化と経済の皇帝であるアメリカは、自身の方言を最前部まで押し上げてきた。
19世紀のニューヨークでは、波止場に並ぶ人たちが、みんな英国の小説家であるディケンズの連載を読んでいるのがわかる。
現在は、ロンドンのレスター・スクウェアでハリウッドの第ヒット作の初日公開を待っている人たちの列を見る事が出来る。
アメリカ英語は数の勝負では勝ったが、イギリス英語は、血統として純粋な言語であると考えられる傾向がある。イギリスの英語は最高の品質を保持していると。
イギリス人は、アメリカ独立宣言の署名のインクが乾く前から、自分たちの言語の、その他の方言に対する優位性を主張してきた。
一方アメリカ人は、世界の英語の標準を伝えるものとして、アメリカ英語はどの方言にも劣らず価値があると、熱烈に主張している。
正典に関しては、イギリス英語は、アメリカ英語が決して手にする事が出来ないものを持っている。
ジェイムズ王欽定訳聖書と、シェイクスピアのロマンティックで高度に抽象的な詩、それから19世紀の作家たちのすばらしい伝統作品である。
イギリス英語のすばらしい実績にも関わらず、アメリカ人は、英語に貢献する素振りも見せない。アメリカ英語は最初から我が道を行っているのである。
20世紀のアメリカ人作家がこのように述べている。
「なぜ、私たちの言葉はイギリスからの借り物にすぎないなんかという、妙な意識がまだ残っているのだろうか。まるで、傷一つなく返さなければならない銅のヤカンのように。」
もちろんイギリス人はアメリカ英語の独立と刷新に関して異なる見解を持っている。
「アメリカ人は、昔の人々が、道しるべにも成り得る価値ある植物を考慮せず、森を切り開いて進んだように、言語を切り倒しながら進む事を決めたのだ。」
質と量の問題はさておき、この2つの方言の未来はどうなっているのだろうか。
しかし、英語の未来を決める切り札を持っているのは、イギリス人でもアメリカ人でもなく、英語を第二言語または外国語として学ぶ人々なのである。
この第三のグループは直ぐに、英語のネイティブスピーカーの数を凌ぐだろう。
そしてこれらの人々は、英語に対して、ブランドを求めていない。使える英語を求めているのである。
2000年に、中国での鉄工技術者達の英語指導者として、イギリス人でもアメリカ人でもない、ベルギー人が採用された。
これは、ネイティブではないベルギー人は、英語を学ぶ苦労を知っていると考えたからである。
英語の2大ブランドの最盛期は終わったのだ。
21世紀に英語に求められるものは、第二言語として英語を話す数100万の人々のニーズに応えられる能力である。
さて、宇宙に放たれたレコードをひろった宇宙人は、ロンドンよりかは、フロリダ州のケープ・カナベラル(ケネディー宇宙センター所在)に住むと思われる、女子学生の声を聞くだろう。
"Greetngs from the children of Earth."と。
"Greetngs from the children of Earth."と。
Orin Hargraes, "18 Is British English the best English?"
E. M. Rickerson, Barry Hitton, ed., The 5 Minute Linguist (USA; Equinox Publishing Ltd., 2006)
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