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言語は世界共通であり、誰もが皆、母語のエキスパートである。
しかし、日常言語以外にも言語は存在するし、多くの疑問が生じるだろう。
エスペラント語はどうなったのか?
機械翻訳が本当に出来るのか?
どうして、特定の人の文章が、他の人の文章より優れているのか?
これらの疑問に答えるのがこの本の役目である。

まず、何が私たちを人間足らしめているのか、という大きな疑問がある。
二足歩行するからか。否、鳥も二本脚で歩く。
社会に住んでいるからか。否、蟻も社会制度の中に生きている。
他者を愛したり、嫌ったり出来るからか。否、飼い犬にも好き嫌いがある。

他の生物と人間を区別するものは言語である。
人々は何をするのにも、言語が必要である。
そして人間は、この星で唯一、話す力を持っている。

人間は、金持ちでも貧乏でも言葉を話す事が出来る。
子供達は、それに晒されれば、ほとんどの場合10歳までに、流暢な言語を得る事が出来る。
二つ以上の言語も習得出来るし、
もう少し育てば、様々なスタイルの言葉を使い分ける事が出来るようになる。

子供達はどうやって、複雑な言語をそう簡単に習得しているのだろうか。
脳には言語に特化した部分があり、子供達は言語を習得する能力を持って生まれる。
言語のない環境で育った子供は、他の大人のように言葉を習得することはない。
これらを根拠に、多くの科学者は、言語の能力は遺伝的で、その能力は大人になるまでに失われると、信じている。

私たちの議論は、話し言葉に関してである。
読み書きの能力は、全く異なる。文字は、様々な器械のように、人間の発明品である。
話し言葉は、歩くのと同様に、人間の生物的特徴で、自然に獲得される。

この本では、どれほど多くの言語が存在し、また現在も、変容している事が分かる。
地球には数千の言語が存在し、すべて古代の言語から引き継がれ、変化し分離したものである。
十分な時間をかけ、語群や方言から分かれて、新しい言語が誕生する。

そして、言葉の原初についても触れている。
すばらしいご先祖様が、「原初の言葉」を話したのだろうか。
もしくは、太古に宇宙人がやってきて、先祖に言語を教えたのだろうか。
動物の鳴き声の真似から発展していったのだろうか。

霊長類は確かに、お互いにコミュニケーションを取るし、訓練すれば言語による思考も出来る。
しかし、私たちのように、無限の新しい考えを表現する柔軟性を持っていない。

コンピューターも人間以上の高度なシミュレーション能力があり、はるかに賢い。
しかし、人間のように、豊かな文章を作る自発性創造性を持っていない。

感嘆詞や、詩やことわざの引用をする以外は、私たちは、常に、聞いた事も話した事も無い、新しい文章を創造している。
言語が特殊である理由は、この、人間の創造性の世界共通の形式であることである。
偉大な詩人、俳優、雄弁家でなくとも、私たちは日々、言語を作り出しているのだ。

言語よりも、普及し、役に立つような人間の特徴は無い。
言語は全ての人間の考えを、そして言語自身さえも、表現する事が出来るのである。

参考文献
Robert Rodman, "1 Why lean about language?"
E. M. Rickerson, Barry Hitton, ed., The 5 Minute Linguist (USA; Equinox Publishing Ltd., 2006)

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