忍者ブログ
[112] [113] [114] [115] [116] [117] [118] [119] [120] [121] [122]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

言語に関する現象、もしくは研究対象となるような、
包括的な言語全体とはなんだろうか。
一般的な言語現象とは、すでに抽象化された知識であり、
何を一般化したものであるかを考えなければならない。
かといって、部分の寄せ集めで、全体が出来る訳でもない。

第一段階として、言語に関して個人社会を分ける事が出来るだろう。
個人に言語活動能力が備わっていると考える事が出来る。
肺や発声器官は、まさに、個人の所有物で、それによる発声は個別的で偶発的である。
言語活動は、一人でも出来る。
しかし、言語は違う。
一人一人に備わった能力は、共同体により行使の手段を手に入れる。
個別の集合以上の、本質的な、普遍的なものである。
つまり、社会的な産物。

言語と言語活動の関係は、音楽に例えられる。
名曲はさまざまな個人によって奏でられるが、作品そのものは、個人とは区別される。
言語は、抽象的な「一人一人の脳に蓄積された財」として存在し、個人の産物ではない。
しかし、作品なき演奏活動が存在しないのと同様に、言語なき言語活動は存在しない。

アメリカの言語学者ホイットニーは、
言語活動ではなく、社会制度としての言語に重点を置いた。
表出が、聴覚イメージであっても、視覚イメージであっても、言語の本質は変わらない。
言語のように、社会に存在する万人に関係し、
いかなる権力を以てしても恣意的に変更出来ない社会制度は、他にない。

そして言語は、記号学的事象に分類される。
これもまた、他の記号に基づく制度と異なっている。
言語は、内在するシステムによって、記号が直接、指し示したい概念を喚起する。
海上の信号や、軍人の合図のラッパ、手話や点字、文字もそうである。
音声だけでなく、これらは似通った変化の法則を示している。

社会的な産物としての言語を、言語学の対象とする限り、
まず、言語学者は、諸言語の研究から始めなければならない。
社会の産物の多様性を研究する。
出来るだけ多くの産物を知ることが重要である。
そして、それらから、特殊や偶然を排し、
一般的で、本質的で、普遍的な、極度に抽象的なものを見出す事が出来る。

その後に、無限の言語活動を生じる、個人の言語使用に関しても述べる必要がある。
個人が社会的な産物を扱うという事が、どういう現象なのか。
前段階で排除した言語の側面を見る。

参考文献
フェルディナン・ド・ソシュール著 影浦峡、田中久美子訳
『ソシュール 一般言語学講義 コンスタンタンのノート』 東京大学出版会 2007

拍手

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
言語学が大好きな一般人のブログです。 過去の記事は、軌跡として残しておきます。
カレンダー
04 2025/05 06
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
ブログ内検索
プロフィール
HN:
てぬ
性別:
女性
自己紹介:
大学院で言語学を学びたい大学生が、日々の勉強の成果を記録してゆく為の、個人サイトでした。
最新コメント
[07/22 てぬ]
[07/20 ren]
[05/24 てぬ]
[05/22 ゆう]
最新トラックバック
バーコード
P R
忍者ブログ [PR]