Speech and breathing
---Oxford Introduction to Language Study Series
世界中の言語には、様々な種類の音声があり、それらがどのように発音されているのかを知らなければならない。
基本的な真実として、全ての音声は空気の振動、「加工された息(modified breath)」である。
ほとんどの音声は、空気が発話者の肺から、喉と口を通って、体外へ出てゆく。
その空気を妨げる事がなければ、ただの一息(breathing out)であり、十分に勢いがあれば、ため息(sigh)になる。
私たちは、調音器官(articulator)を用いて空気の流れを調節して、子音と母音の組み合わせである音節(syllable)を作り出している。
肺からの呼気以外の空気を用いる音声も存在する。
南アフリカのズールー語(Zulu)やホサ語(Xhosa)で子音として用いられている吸着音(click)。
エチオピアのアムハラ語(Amharic)で音素として用いられる、声門閉鎖(ejective)。
インドのシンド語(Sindhi)で用いられる内破音(implosive)などがある。
発話の面白い所は、既に、生物学的な根拠のある身体の一部を用いている事である。発話の為だけに発達した臓器は存在しない。
肺から唇を通り外に出る空気の通り道を声道(vocal tract)という。
肺と首とをつなぐ気管(trachea)は意識的に動かす事が出来ない。
The larynx
喉頭(larynx)は、声帯(vocal folds)と呼ばれる重要な筋肉の組織を抱えている。
私たちは声帯を、広く開けたりきつく閉じたり少し開けたり、自由に調節出来る。
声帯を広く開けていれば、空気は勢いよく口外へと出る。
少しだけ、数ミリメートルに狭めると、「はーっ」と息を吐き出す時の音が出る。
両声帯が触れる程狭めると、隙間を通る空気で声帯が震え、音声を発する(voicing, phonation)と呼ばれることが起こる。
どのように声帯を調節するかによって、声の高低(pitch)を変える事が出来る。
多くの音声が有声で(voiced)で、その他は無声(voiceless)である。
母音は鼻音(nasal)と同様に、ほとんどが有声である。
声帯と声帯をきつく閉じて空気の流れを遮断する事を声門閉鎖(glottal stop)と言う。
The vocal tract above the larynx
喉頭のすぐ上を咽頭(pharynx)と言い、食べ物もここを通る。
食事や発話の際に咽頭を狭める事があるし、それを利用する言語もあるが、一般的にはあまり使われない。
咽頭の上で声道が2つに分かれており、鼻腔(nasal cavity)に続く道は、軟口蓋(soft palate, velum)を下げる事によって開かれる。
軟口蓋の先には口蓋垂(uvula)があり、いくつかの言語の発音に携わる。
口の中には重要な組織がいくつもあり、最も重要なものが、上下左右自由自在に動かす事が出来る、舌(tongue)である。
従って'tongue'は'language'と同じ意味を持つ。
舌は口蓋(palate)と共同に働く事で様々な子音を生じる。
下あご(lower jaw)も上下に動ことができる。
歯(tooth)は動かす事は出来ないが、重要な器官である。
調音器官の最後の口唇(lip)も舌と同じように柔軟である。緩急の開閉はもちろん、丸めたり、狭く横に広げる事も出来る。
Describing speech production
ここでは'sand/saend/'の発音方法について詳しく解説する。
簡単な発音も、基礎から見てゆけば決して単純ではないのである。
まず/s/の発音は声帯が離れ、振動しない音声である。
肺からの呼気が喉頭と咽頭を通り、口内へ流れ込み、そこで妨害を受ける。舌の前部分が持ち上がり、口蓋の、上前歯の裏の部分に触れる。全ての空気を通さない程きつく触れている訳ではないので、狭い隙間と歯によって、スーっという音を発する。
/ae/の音は、声帯振動を伴う音である。
したがって/s/から/ae/に移るときに、声帯を近づけなければならない。同時に下あごと舌を下げて、口内の妨害をなくす。このとき軟口蓋はあがったままである。
しかし、鼻音/n/に入る前、には軟口蓋を下げなければならない。
下あごと舌を、/s/の発音と同じ高さに移動させ、舌と口蓋の間はきつく閉じ、声帯は振動したままで、軟口蓋を下げたおかげで空気は鼻腔へ通じ、鼻孔へと抜ける。
/n/から/d/への移動は簡単である。
軟口蓋をあげ鼻腔への通り道を塞ぐと、空気の流れがなくなり、声帯振動も止まる。以上である。
声帯を開け、舌と軟口蓋を下げれば通常の呼吸の体制へと戻る。
子音と母音の区別は難しく、妨害が著しいものが子音、よりスムーズに空気が流れるものが母音である。
子音と母音の繰り返しでは、声道が開閉を繰り返していると言える。
/t/や/p/などの子音は、母音とは大きい違いがあるが、そうは言えない子音も多く存在する。
参考文献
Peter Roach, Phonetics(UK; Oxford University Press, 2001)参考文献
---Oxford Introduction to Language Study Series
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