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次は、語の構成について、形態論(morphorogy)的な描写をしてゆく。
昨日述べたように、
"parson"は二つの音節に分かれる。
"parting"も同様に、二つの音節からなっている。
"parting"は特に、語彙要素としても、二つに分けることが出来る。
第三章(04/22)で見たように、
"walking"、"building"、"passing"など、"-ing"は無数の単語と連結して出現する。
"part"、"walk"、"build"、"pass"などのように、
独立した語として出現できる要素を自立形態素(free morpheme)と言い、
"-ing"のように、そのほかの語彙と結びつき出現する要素を、
付属形態素(bound morpheme)と言う。

では"parson"はどうだろうか。
"par-"で始まる単語は数多くあるが、それ自体に意味は無い。
"par-cel""par-king""par-ticle"など、後ろの語彙を説明することが出来ない。
境界を変更し、"pars-on"と考えても同様に、二つの構成要素に別れることはない。
従って、"parson"は二つの音節で一つの形態素(morpheme)であり、
"parting"は、二つの音節で二つの形態素から成っている事がわかる。

ただし、こんなに単純な説明だけでは終わらない。
"parson"は名詞である。
"parting"は、"the parting of the ways"では名詞であるし、
"They were parting company for good"では現在分詞である。
前者の考えでは、"-ing"は動詞の語彙を名詞にする。
後者の考えでは、"-ing"は一時的に語彙の形を変えただけであり、
動詞の現在形の代わりに、現在の進行相を現している。

形態論には二つの現象がある。派生(derivation)屈折(inflection)である。

派生は様々な接辞(affix)が語彙や語根に結合することでおこる。
"de-"、"re-"、"un-"、"dis-"のように語根の前につくものを接頭辞(prefix)と言い、
"-able"、"-age"、"-ize"、"-ful"のように後ろに付くものを接尾辞(suffix)と言う。
これらの要素によって、様々な結合による創造を法則化できる。
音と音の結合で語を形成した、音韻論的な結合との違いは、
派生形態論(derivational morphology)は、語彙を作る、意味の結合であることだ。

一方、屈折形態論(inflectional morphology)は、新たな語を作り出さない。
これは主に文の中で行われる現象である。
英語の、動詞の過去形"-(e)d"や、名詞の複数形"-(e)s"がこれにあたる。
屈折形態素は音素と同様に、抽象的なものであり、
音素に異音があるように、実際の現れとしての異形態(allomorph)がある。
例えば、"pert-ed"の発音は/ ɪd /であるが、
"pull-ed"は/ d /で母音がない、さらに"push-ed"は/ t /と無声音化してしまう。
"sleep"にいたれば、"slept"となり、音も綴りも原型と大きく変わってしまっている。

音節と形態素は一致しない、ということは重要である。
特に屈折形態素においては、それが語根と別れた音節として出現しないこともある。
形態論には、二つの研究分野が存在する。
屈折形態論は、やがて意味論へと展開する可能性のある分野であり、
派生形態論は、文の中での単語の役割を研究する統語論(syntax)へ続く。

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