忍者ブログ
[229] [230] [231] [232] [233] [234] [235] [236] [237] [238] [239]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

投射問題
前提は、単純な文章がもっと複雑な文章の一部になった時も、正しさを保持するだろうという、基本的には予想される。これは、文全体の意味は、部分的な意味の集まりである、という一般的な考え方の一種である。しかし、複雑な文章全体の意味にのこらない部分的な前提の意味もある。これが、投射問題(prijection problem)と呼ばれている。例えば、例12において、c. の単純な文章では正であると見なされている前提 q (Kelly was ill.)が、h. では投射されていない、ということを見てみよう。次の分析では、人がこのような発言をする状況を考えなければ行けない。"I imagined that Kelly was ill and nobody realized that she was ill."

例12
a. Nobody realized that Kelly was ill.
b. Kelly was ill.
c. p >> q (発話はa. 前提はb.)
d. I imaged that kelly was ill.
e. Kelly was not ill.
f. r >> NOT q (発話はd.  前提はe. 前提の反対はb.)
g. I imagines that Kelly was ill and nobody realized that shi was ill.
h. r & p>>NOT q(r & q の結合のあと、前提 q はもう正ではない)

例12では、技術的な分析は分かりやすいが、誰かがそれを話しているという文脈を考えるのは難しいだろう。しかし例13は、もっと文脈がわかりやすい。テレビのメロドラマで、2人の登場人物が例13のような話をしている。

例13
Shirley: It's so sad, George regrets getting Mary pregnant.
Jean: But he didn't get her pregnant. We know that now.

もし例13の発話が合わさるのならば、こう表現できる。"George regrets getting Mary pregnant; but he didn't get her pregnant"。この文中の前提の違いを確認すると、例14の前提 q が例14のe. では機能していないということがわかる。

例14
a. George regrets getting Mary pregnant.
b. George got Mary pregnant.
c. p >> q
d. He didn't getting her pregnant.
e. George regrets getting Mary pregnant, but he didn't get her pregnant.
f. p & r >> NOT q

例14のe. 全体を考えるひとつの方法として、その日のメロドラマで起こったことを報告する人発言である考える。その人は、前提 q (George got Mary pregnant)が、例14のe. を発話するときには正であると考えていないだろう。
前提が投射されていないという事実の簡単な説明は、含意によって破壊されているということだ。含意とは、断言されたものに続いて必然的に生じるものだ。例13では、ジーンによる発話"he didn't get her pregnant"は実際には、論理的な結論"George didn't get Mary pregnant"を導く。従って、このドラマを見た人は、あなたに"George regrets getting Mary pregnant, but he didn't get her pregnant."と伝えるとき、前提 q と含意 NOT q を知っていることになる。含意(言われたことの必然的な結論)は、前提(早い段階での仮定)よりも単純に協力である。
含意の力は、存在の前提も削除できる。例15のa. のように、人が"the X"のような定表現(the King of England)を使った場合、彼や彼女はその描写された存在の実在を前提としていると、私たちは普通思う。例15のb. のような"X doesn't exist"という発話では、Xは無い、という含意になる。しかし例15のb. の発話者は、描写された存在の実在を前提としているだろうか?

例15
a. The King of England visited us.
b. The King of England dosen't exist!

例15のb. の発話者が、イングランド王が居る(前提)と信じ、イングランド王がいない(含意)と同時に信じていると考える代わりに、含意は、前提よりも力強いと考える。存在の前提を、破棄するのである。
すでに強調しているように、認識されるように発話の中に話し手によって示唆され、実際の前提となるだけの潜在的な前提において、すべての種類の前提でこのように考えられる。話し手は、潜在的な前提は強い仮定としてあるのではないと、述べることができる。例16にあるように、"his car"などの所有の構造では、暫定的に表現を通して存在できる、潜在的な前提(he has a car)を含んでいる。

例16
a. What's that guy doing in the parking lot?
b. He's looking for his car or someting.

例16では、話し手は、仮定された真実としての前提(he has a car)を信じきってはいない。単語や句が、前提を持っているわけではないということは、覚えておいた方が良い。話し手だけが、前提を持ち得るのだ。

拍手

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
言語学が大好きな一般人のブログです。 過去の記事は、軌跡として残しておきます。
カレンダー
04 2025/05 06
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
ブログ内検索
プロフィール
HN:
てぬ
性別:
女性
自己紹介:
大学院で言語学を学びたい大学生が、日々の勉強の成果を記録してゆく為の、個人サイトでした。
最新コメント
[07/22 てぬ]
[07/20 ren]
[05/24 てぬ]
[05/22 ゆう]
最新トラックバック
バーコード
P R
忍者ブログ [PR]