co-textの役割
多くの今までの例では、私たちの、意図された参照を同定する能力は、実は多くの部分が、私たちの参照表現の理解に寄るものである。それは、参照表現についてくる言語学的材料やco-textなどに支えられてきた。例8のa. が見出しにきたとき、"Brazil"は参照表現で、"win World Cup"はco-textの一部である(残りの大部分は新聞だ)。co-textは明らかに、"Brazil"のような単語が持つ解釈の可能性の幅を、限定する。それゆえ、参照表現を通じて参照を同定する私たちの能力という点で、参照は、単独で理解されると考えるのは、間違いだ。参照表現は、実際は参照の幅(range of reference)、つまり複数の可能な参照を提供する。前の例にもどり、同じ"the cheese sandwich"を使ってco-textの違う、異なる解釈を導く例9のa. とb. を見てみよう。
例9
a. The cheese sandwich is made with white bread.
b. The cheese sandwich left without paying.
もちろんco-textは参照表現が使われている環境の言語的な部分である。物理的な環境、あるいは背景は、どう参照表現が解釈されるべきかについて非常に強い影響を及ぼしていると、簡単に理解できる。レストランの物理的な背景、あるいはそこで働いているもの同士の会話は、b. の解釈は非常に重要である。同様に、例10のa.は背景は病院であるし、b. は歯医者、c. はホテルの受付である。
例10
a. The heart-attack mustn't be moved.
b. Your ten-thirty just cancelled.
c. A couple of room have complained about the heat.
例10は、場所的な文脈と、聞き手の局地的な知識に依存した参照の分析のヒントを与えてくれる。それは非常に、推測の基礎として、現地の社会文化的慣習に対する詳しさに依存している(例えばもし、看護師の間では、病気の名前で病院に居る患者を同定しているのであれば)。これらの慣習は、ある社会グループとその他のグループで、相当違う。そして、言語間でもかなり違う。参照は、単語や句の意味と、世界の物や人物の単純な関係ではない。それは、話し手が、物や人物を意味するために選んだその単語や句が、話し手の意図のように解釈されるという、社会行動である。
前方照応的参照
これまでは、参照の単独の行動を考えてきた。しかし私たちの話や書くことのほとんどは、同時にひとつ以上の文章についての話についてゆかねばならない。冒頭、いくつかの存在の紹介のあと、話し手は例11のような参照を保持するためのさまざまな表現を用いるだろう。
例11
In this film, a man and woman were trying to washa cat. The man was holding the cat while the woman poured water on it. He said something to her and they started laughing.
英語では、最初の参照や紹介ではよく不定形である("a man"、"a woman"、"a cat")。例11では、定形("the man"、"the cat"、"the woman")と代名詞("he"、"her"、"them")は、すでに紹介された参照のその次の参照で、一般的に前方照応的参照として知られている。専門用語では、2回目やそのあとの表現は、照応形(anaphor)といい、一番はじめの表現は先行形(antecedent)である。
前方照応的参照を、先行で示されたものと同じ存在と意味することを持続させるプロセスとして考える気になってしまう。多くの場合、この仮定は、解釈とは少し違う。いくつかの変化や効果が描かれている場合、前方照応的参照は違うように解釈しなければならない。レシピからとった例12では、最初の参照表現"six potatos"は、照応すえう代名詞"them"の解釈と何か違う物である。"them"は"the six peeled and sliced potatos"と解釈されなければいけない。
例12
Peel and slice six potatoes. Put them in cold water.
先行 - 照応の入れ替わるパターンも時々、例13のような物語の始まりで見られる。
例13
I turned the cornerand almost stepped on it. There was a large snake in the middle of the path.
代名詞"it"が最初に使われ、次の文章の完全な名詞句が現れるまで、解釈が困難である。このパターンは専門的に後方照応(cataphora)としても知られていて、前方照応よりは珍しい。
英語では前方照応的参照が使われた表現の幅がひろい。もっとも一般的な形式は、例14のa. で使われている"it"のような代名詞だが、例14のb. のような定名詞句もよく使われる。
例14
a. Peel an onion and slice it.
b. Drop the slices into hot oil.
c. Cook for three minutes.
c. のように言語学的表現がなく、何を調理するのか解釈するには存在の同定が必要なとき、それをゼロ照応(zero anaphora)や省略(ellipsis)という。参照保持としてのゼロ照応の使用は、聞き手が話し手が意味したかった人や物を推測できるということが期待されている。これも、明確に、話されことよりも伝えられた物が多いケースである。
照応形が、先行と言語学的につながっていないときも、聞き手は特殊な推測をすることを期待されている。
これは、1章で自転車の例でみたことでもある。例15で詳しく見てみよう。
例15
a. I just rend a house. The kitchen is really big.
b. We had Chardonnay with dinner. The wain was the best part.
c. The bus came on time, but he did't stop.
例15のa. では、照応的接続のために、(もしxが家ならば、xは台所を持っている、というような)推測が求められる。b. のような推測は、(シャルドネがワインの種類である、という)より専門的な知識をもっているという仮定に依存している。加えて、c. では、(バスには運転手が居るという)話し手にとってあまりにも無意識の推測と思われるし、前方照応的参照の代名詞とすぐにわかる。この例では、先行"the bus"と照応"he"が文法的に一致していない。既に指摘されているように、成功する参照は、ことばそのものや、参照の無いようと選ばれた参照表現の文法的な正しさに拠るものではない。"sandwich"という単語は人物を意味し、代名詞"he"と照応する。参照の意味を成す鍵は、語用論的プロセスである。それによって、話し手は、とある存在を同定する意図と、また話し手が意図した表現の解釈と共同する聞き手の仮定と一緒に、言語学的表現を選ぶ。
参照の社会的側面は、共同作業の効果とむすびついている。最小限の表現であっても、参照の意味の即座の認識は、共有されている何か、共通の何か、それから社会的な親密さをを示す。
成功した参照は、推測によって意図が認識され、共有の知識な社会的結びつきを示していることを、意味している。共有の知識の仮定は、前提の研究とも、きわめて関係深いことである。
多くの今までの例では、私たちの、意図された参照を同定する能力は、実は多くの部分が、私たちの参照表現の理解に寄るものである。それは、参照表現についてくる言語学的材料やco-textなどに支えられてきた。例8のa. が見出しにきたとき、"Brazil"は参照表現で、"win World Cup"はco-textの一部である(残りの大部分は新聞だ)。co-textは明らかに、"Brazil"のような単語が持つ解釈の可能性の幅を、限定する。それゆえ、参照表現を通じて参照を同定する私たちの能力という点で、参照は、単独で理解されると考えるのは、間違いだ。参照表現は、実際は参照の幅(range of reference)、つまり複数の可能な参照を提供する。前の例にもどり、同じ"the cheese sandwich"を使ってco-textの違う、異なる解釈を導く例9のa. とb. を見てみよう。
例9
a. The cheese sandwich is made with white bread.
b. The cheese sandwich left without paying.
もちろんco-textは参照表現が使われている環境の言語的な部分である。物理的な環境、あるいは背景は、どう参照表現が解釈されるべきかについて非常に強い影響を及ぼしていると、簡単に理解できる。レストランの物理的な背景、あるいはそこで働いているもの同士の会話は、b. の解釈は非常に重要である。同様に、例10のa.は背景は病院であるし、b. は歯医者、c. はホテルの受付である。
例10
a. The heart-attack mustn't be moved.
b. Your ten-thirty just cancelled.
c. A couple of room have complained about the heat.
例10は、場所的な文脈と、聞き手の局地的な知識に依存した参照の分析のヒントを与えてくれる。それは非常に、推測の基礎として、現地の社会文化的慣習に対する詳しさに依存している(例えばもし、看護師の間では、病気の名前で病院に居る患者を同定しているのであれば)。これらの慣習は、ある社会グループとその他のグループで、相当違う。そして、言語間でもかなり違う。参照は、単語や句の意味と、世界の物や人物の単純な関係ではない。それは、話し手が、物や人物を意味するために選んだその単語や句が、話し手の意図のように解釈されるという、社会行動である。
前方照応的参照
これまでは、参照の単独の行動を考えてきた。しかし私たちの話や書くことのほとんどは、同時にひとつ以上の文章についての話についてゆかねばならない。冒頭、いくつかの存在の紹介のあと、話し手は例11のような参照を保持するためのさまざまな表現を用いるだろう。
例11
In this film, a man and woman were trying to washa cat. The man was holding the cat while the woman poured water on it. He said something to her and they started laughing.
英語では、最初の参照や紹介ではよく不定形である("a man"、"a woman"、"a cat")。例11では、定形("the man"、"the cat"、"the woman")と代名詞("he"、"her"、"them")は、すでに紹介された参照のその次の参照で、一般的に前方照応的参照として知られている。専門用語では、2回目やそのあとの表現は、照応形(anaphor)といい、一番はじめの表現は先行形(antecedent)である。
前方照応的参照を、先行で示されたものと同じ存在と意味することを持続させるプロセスとして考える気になってしまう。多くの場合、この仮定は、解釈とは少し違う。いくつかの変化や効果が描かれている場合、前方照応的参照は違うように解釈しなければならない。レシピからとった例12では、最初の参照表現"six potatos"は、照応すえう代名詞"them"の解釈と何か違う物である。"them"は"the six peeled and sliced potatos"と解釈されなければいけない。
例12
Peel and slice six potatoes. Put them in cold water.
先行 - 照応の入れ替わるパターンも時々、例13のような物語の始まりで見られる。
例13
I turned the cornerand almost stepped on it. There was a large snake in the middle of the path.
代名詞"it"が最初に使われ、次の文章の完全な名詞句が現れるまで、解釈が困難である。このパターンは専門的に後方照応(cataphora)としても知られていて、前方照応よりは珍しい。
英語では前方照応的参照が使われた表現の幅がひろい。もっとも一般的な形式は、例14のa. で使われている"it"のような代名詞だが、例14のb. のような定名詞句もよく使われる。
例14
a. Peel an onion and slice it.
b. Drop the slices into hot oil.
c. Cook for three minutes.
c. のように言語学的表現がなく、何を調理するのか解釈するには存在の同定が必要なとき、それをゼロ照応(zero anaphora)や省略(ellipsis)という。参照保持としてのゼロ照応の使用は、聞き手が話し手が意味したかった人や物を推測できるということが期待されている。これも、明確に、話されことよりも伝えられた物が多いケースである。
照応形が、先行と言語学的につながっていないときも、聞き手は特殊な推測をすることを期待されている。
これは、1章で自転車の例でみたことでもある。例15で詳しく見てみよう。
例15
a. I just rend a house. The kitchen is really big.
b. We had Chardonnay with dinner. The wain was the best part.
c. The bus came on time, but he did't stop.
例15のa. では、照応的接続のために、(もしxが家ならば、xは台所を持っている、というような)推測が求められる。b. のような推測は、(シャルドネがワインの種類である、という)より専門的な知識をもっているという仮定に依存している。加えて、c. では、(バスには運転手が居るという)話し手にとってあまりにも無意識の推測と思われるし、前方照応的参照の代名詞とすぐにわかる。この例では、先行"the bus"と照応"he"が文法的に一致していない。既に指摘されているように、成功する参照は、ことばそのものや、参照の無いようと選ばれた参照表現の文法的な正しさに拠るものではない。"sandwich"という単語は人物を意味し、代名詞"he"と照応する。参照の意味を成す鍵は、語用論的プロセスである。それによって、話し手は、とある存在を同定する意図と、また話し手が意図した表現の解釈と共同する聞き手の仮定と一緒に、言語学的表現を選ぶ。
参照の社会的側面は、共同作業の効果とむすびついている。最小限の表現であっても、参照の意味の即座の認識は、共有されている何か、共通の何か、それから社会的な親密さをを示す。
成功した参照は、推測によって意図が認識され、共有の知識な社会的結びつきを示していることを、意味している。共有の知識の仮定は、前提の研究とも、きわめて関係深いことである。
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