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 では、実際のタブローとその解説をする。
以下のタブローは『日常言語に潜む音法則の世界』p.146のタブローを、
そのまま再現したものである。
bet-kaku.jpg
まず、入力は漢語の/bet-kaku/である。
これがGen.によってさまざまな出現可能性となって出てくる。
[betkaku], [bekkaku], [betukaku], [bekaku]
この可能性を、制約に照らし合わせて、違反であるかを評価する。
その前に、制約のランキングだが、
これは言語ごとに変わるので、ひとつの語種での制約のランキングはひとつである。
日本語では、和語、漢語、外来語で異なる。
もちろん、このタブローに書かれていない制約のランキングも固定である。

まず、[betkaku]は、"tk"の部分が*CC制約に違反している。
*CC制約のランキングは一番なので、これは致命的違反を犯している。
二つ目は[bekkaku]であるが、入力の/t/が/k/に変わってしまっている。
これはIdenticalの忠実性制約に違反する。
三つ目の[betukaku]は/tk/の間に、入力にない”u”が挿入されている。
これはDependenceの忠実性制約に違反している。
四つ目は[bekaku]であるが、これは入力の/t/が削除されている。
これはMaximalの忠実性制約に違反している。
これは*CC制約と同じく、一番重要な制約なので、致命的違反と言える。
漢語ではIdentよりDepの制約の方がより優先されるので、
この時、最適解として選ばれるのは、二つ目の[bekkaku(別格)]である。

参考文献
田中伸一 『日常言語に潜む音法則の世界』 開拓社 2009 
窪薗晴夫 「派生か制約か 最適性理論入門」 月刊『言語』 大修館 1996.04.-06.月号

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