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言語学は自然科学ではないので、
ひとつふたつの矛盾があったって、その理論が完全に間違いだとは言えない。
内在的順序、外在的順序、利益供与、利益奪取、語彙規則、後語彙規則など
規則同士の様々な序列関係を紹介したが、
今回は、序列ではなく、
もっと抽象的な、カテゴリーを紹介する。

順序付けの関係を、規則の縦の関係と言うならば、
これは、規則の深層にある、目標を同じとする抽象的な関係性であり、横の関係と言える。
共謀関係(conspiracy)は、
抽象的概念的枠組みも、音韻体系に関わっていることを示した。

例えば、わたり音挿入と母音融合の2つの規則である。
母音融合とは、
umai「うまい」→umee
katai「堅い」→katee
atui「熱い」→atii
のように、連続する母音が融合し、同じ母音の連続となることである。
この2つの規則に共通する目標は、
「異音節の母音連続の禁止」である。
そのために、他の子音を挿入したり、母音自体を変化させる。

この2つのが規則が適応されたり、適応順序に関係性があるのではなく、
規則の目標が共通しているという視点が新しい。
このように規則が適応するようにする共通目標を持つものを、積極的(positive)、
規則が適応しないようにするものを否定的共謀関係(negative conspiracy)という。
例えば、CVCCCのような音節を避けるために、
子音挿入や母音削除の規則が適応されない例である。

「見えない糸」の発見と研究は、
言語学史上、とても画期的で重要な意味を持つものであるといえる。

参考文献
田中伸一 『日常言語に潜む音法則の世界』 開拓社 2009

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