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まず、静態言語学の単位の問題があるが、これは、語という、曖昧でかつ誰もが知っている単位を使用する。
その言語の使用者は自然に、語を認識することが出来る。今はこれを利用し、単位について深く踏み込まないことにする。
語はシステムの項である。語は決して独立した存在ではない。語の価値は、近隣のその他の語との関係性のみによって決定する。
では語の関係性にはどのようなものがあるか。
 
1、連辞的配列(仏 coordination syntagmetique)、連辞関係(仏 rapports syntagmatique)
複数の語が、時間軸上で順になって表れ、何かしらの関係を築いていること。関係の広がりは、時間軸、前後の一方向だけである。
 contre→tous(に対して→全て)
あるいは以下の例では、部分→部分と、部分→全体の、2つの関係が区別される。
 contre→marche(背面→行進)
 
 contre     (背面)
  ↓       ↓
 contremarche (背面行進)
 
2、連合的関係(仏 coordination associatifs)、連合関係(仏 rapports associatifs)
これは語が喚起する概念の関係を表す。語と語の心理上の連合によるもので、時の流れや順序の無い星座のような関係図を描く。
シニフィアンとシニフィエの一部が、共通するものを持っている連合。
 enseignement(教育)
 enseigner(教える)
 enseignons(教える、一人称複数型)
 enseigne(教える、三人称単数型)...
または、別のシニフィアンとシニフィエの部分が共通している連合。
 enseignement(教育)
 armement(軍事)
 rendement(生産高)...
シニフィエが共通している連合。
 enseignement(教育)
 instruction(教育)
 apprentissage(学習)
 éducation(教育)...
シニフィアンの一部が共通している連合。ドイツ語。
 blau(青い)
 durchbläuen(竿で叩く)
 
この2つの関係についての考察。
1、言語学者は、連辞関係、連合関係のどちらの観点からも議論する。
連辞関係は文脈である。はじまりがあり、終わりがある。
連合関係は意識である。はじまりもなく、終わりもない。
2、文を成すものは項と項の連辞関係である。
文は発話に属するものであるが、そうなると、今までの議論は言語と発話とを混同した不適切なものであるのかという反論が生じる。
例にも出したように、熟語にも連辞関係が生じる。連辞は言語と発話両方に生じると言える。
3、連合関係は連辞関係の基盤となる。
もしもenseigne-ment(教育)が2語として数えられるのならば、連合関係を手繰って、arme-ment(軍事)も2語と認定されなければならない。
 
フェルディナン・ド・ソシュール著 影浦峡、田中久美子訳
『ソシュール 一般言語学講義 コンスタンタンのノート』 東京大学出版会 2007
フェルディナン・ド・ソシュール著 小林英夫訳 『一般言語学講義』 岩波書店 1972

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