開口度3、狭母音
この段階から母音に入るが、開口度の視点には、子音母音の区別は必要ない。
i、u、üは有声である。普通は有声音と、鼻音有声音だけである。
無声のi、u、üも存在するが、他の表記が必要である。
'hi, hu'は、無声i、uと、有声のi、uを区別する為の方法でしかない。
母音無声音はなし。
開口度4、半狭母音と半広母音
e、o、öなどである。鼻音有声音にはフランス語で'in, on, un'と表記される鼻母音がある。
無声の'he, ho'もあるだろう。
母音無声音はなし。
開口度5、広母音
有声音はaだけである。鼻母音もある。フランス語の'an'。
母音無声音はなし。
以上のような開口度による5段階に加えて、±声と±鼻音の[- -][- +][+ -][+ +]の4つ組み合わせを持った分類は優れている。
全ての音を口腔による調音(開口度)に還元することで、その他の要素は、それに変化を加えるだけである。
開口度には以下の特徴がある。
まず、開口度が低い程、口腔で作り出される音が大きい。
そして、開口度が低い程、押し殺された聞き取りにくい音声になる。
加えて、子音と母音を区別する境界が存在しない。
開口度が高くなる程、歯や舌など、その他の要素による制限が緩くなり、喉頭原音による調音に頼らざるを得ない。
しかしこれは子音と母音を区別しない。
音韻論に関する本では、今まで、子音と母音の区別に重きを置きすぎて混乱を生じさせていた。
この、5×4=20個の分類は、いかなる発音であるかを知る為の指標にはなるが、音韻論(仏 phonologie)とは言えない。
音韻論(仏 phonologie)が目指すのは、それ以上は細かく出来ない要素に分解する事であり、無限である。
pに関しての音韻論(仏 phonologie)の考察を紹介する。
'apa'という表記を見ると、一般的には、pが最小の単位であると言えるだろう。
'appa'という表記のppは、同じ音声の繰り返しでは無い。一つ目のpは閉鎖を作る閉じた音で、2つ目のpは閉鎖を開放する開いた音である。
この3つのpはどれも違う音声を表しているのである。
慣習的に閉鎖を作る子音を内破、開放する子音を外破と言う。この2つが連続する必要は無い。
'all'のlについても同様の事が指摘出来る。
pとは、抽象的な何かである。
これら、内破と外破の区別を認める文字表記はi-j(y)、u-wしかない。iとuが内破であり、j(y)とwが外破である。
この対立はa以外の全ての音声に存在するが、それを区別する音素は存在しない。
しかしそれは何ら問題が無いのである。
フランスの言語学者ポール・パスィー(Paul Passy)らの提唱する国際音標文字は言語学には必要だが、それを日常の文字に使用することは望ましくない。
その思想は極端すぎる。
一番の問題は、字母が多すぎることである。
そして、同音異義語の判断の手がかりであった、綴りの差が無くなくなってしまう。
文字には、習慣によって、抽象的な価値と結びつくのである。
参考文献
フェルディナン・ド・ソシュール著 影浦峡、田中久美子訳
『ソシュール 一般言語学講義 コンスタンタンのノート』 東京大学出版会 2007
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