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第3章 原因の観点から見た言語の地理的多様性

第1章では地理的な多様性に関して見た。
そして、多様性には2種ある。
絶対的な多様性と、類縁性の中にある多様性である。

絶対的な多様性を扱うと、どうしても、知りうる限界や言語の起源など、他の領域の問題に関わってくる。
地球上の全ての言語をひとつに還元出来ない事が大きな問題になる。

類縁関係の中の多様性は、観察をする事が出来る。
ラテン語の変遷を、手に取り見る事が出来る。
ヨーロッパから入ったアングロ=サクソン語や、カナダのフランス語等、
地理的な、地図上の隔離によって、言語が独自に発展してゆく事例を扱う。
特に海などで分断されたふたつの言語の差異は、時間がたつとだんだんと目立ってくる。
それらには、語彙の相違、文法の相違、音声の相違に分けられる。

島に移植された言語は、島で特異なものに変化するという考えは誤りであり、大陸でも同時に言語が変化している。
大陸で変わらないものが島で変化する事もあるし、
島では変わらないものが、大陸で変化する事もある。
英語とドイツ語の例はこれをよく表している。

これらの相違を生み出すものは、しばしば空間的な要因であるとさるが、類縁関係にあるこの二つの言語に作用するものは時間のみである。
変化には時の流れが必要である。
空間の軸だけで、相違を見比べても、変化はたどる事が出来ない。
この現象を観察するには、時間と言うもう一つの軸が必要である。
この二つの軸、主に時間軸、によって完全に捉える事が出来る。
(天候や山など、地理的な環境の相違によって生み出される言語の相違に関しては、未だ曖昧な部分が多いのでここでは扱わない。)

原型が、時間によってどのように変化するかと言う予測をする事は出来ない。
しかし、時間のみによることは確かである。
言語の相違を、地理的な一定の単位によって観察する事は出来ない。

言語の進化という概念がある。
この進化のしかたが、特別な場合、それが、地理的な分化である。
地理的な分化は、この進化の中に組み込まれている。
この特別な例を見る前に、一般的な例、地理的に連続した中での進化を見るべきである。

参考文献
フェルディナン・ド・ソシュール著 影浦峡、田中久美子訳
『ソシュール 一般言語学講義 コンスタンタンのノート』 東京大学出版会 2007

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