忍者ブログ
[160] [161] [162] [163] [164] [165] [166] [167] [168] [169] [170]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

大学で4年間語学を勉強したのに、まったく話せるようにならなかったというのは、大人の語学クラスで良くある事である。
なぜ、みんなそうなのだろうか。
私たちの頭が悪いのか、語学に向いていないのか、それとも先生が悪いのか。
 
まず、会話について述べよう。
外国語で、ネイティブスピーカーと一緒に会話をする事は、実際世界的な問題となっている。
それは、彼らが話している事の文化的文脈が理解出来ると言う確信と、彼らが自分を理解する為に、自分の考えや感情を伝える事が出来るという確信が必要である。
会話は、ネイティブスピーカーと会う事が無くても上達するような、読解の知識や聞き取り能力とは、全く異なる問題である。
 
外国語を流暢に話す事は、IQや学力の問題ではない。ちゃんとした教育を受けずに、いくつもの言語を話せる人はたくさん居る。
年齢の問題でもない。子供たちだけが言語を習得出来るという考えは、あまりにも悲観的である。
現代語文学学会は、「早すぎる事は無い、遅すぎる事も無い」と主張している。
確かに子供達は、新しい言語の中にいる時は、かなり早く言語を習得するが、それが、大人の学習に勝るとは言えない。大人は、認識の面で優位に立っており、学校での教育を受けているのだ。
 
ひどいフランス語なまりの英語を話す『ピンクパンサー』のクルーゾー警部のような話者にはなりたくないだろう。
言語は単純な、単語や句の組み合わせではない。情報伝達には複雑なシステムが存在する。
数週間で語学をマスター出来るなどと言う広告に惑わされてはいけない。
言語を修得するのにはとても時間がかかるし、母語に似ていない言語ならばもっと時間がかかる。
通常の、大学における四年間の語学学習では、200時間かそれ以下の学習時間が設定されている。
しかし、アメリカ政府の実力志向の語学学校では、すべての授業の最低600時間は、その言語に接している。そして、英語とは少し離れた言語、中国語や韓国語や日本語やアラビア語を修得する為には、フランス語やスペイン語の倍以上の時間がかかる。
 
以上のような時間的な問題に加えて、さらに2つの事柄が必要である。
その言語を話す人々との長い共同作業と、何が話されているかを理解する為の言語学的な手がかりである。
語学学習の為に外国に行っても、一ヶ月や一年では十分ではない。
突然アメリカに来て英語を学ぼうとする人は、"Wutchagonnado?"と言われて困惑するだろうが、いつか、それが"What are you going to do?"である事を理解する。
これは、聞き慣れていない言語を聞いた時、全ての人が体験することであろう。このような一連の音声を分かるようになるには、どうすればよいのか。
「全身浸礼」以外では、自分の国に居る、目標言語のネイティブスピーカーの会話を盗み聞きすると良いだろう。
彼らは、私たちに文法や、なぜそんな言い方をするのかを教えてくれないし、もっとも、知らないだろう。説明が無いと、学習は無秩序で非効率的になる。
 
思春期を過ぎると、ほとんどの人達が、音声の聞き取りや文構造の理解、文化的文脈の理解の為の枠組みを知る為に、教室での享受を必要とする。
認識の枠組みを勉強しない大人は、しばしば、不快な流暢さが残ってしまう。単語やスピードに問題が無く、正しい発音をしていても、文法がしばしば不適切で、そして単語の使い方に対して文化的な感性がない。
かれらはクルーゾー警部のような高原状態(プラトー)に陥り、上達も低下もしない状態で止まってしまうのである。
 
大人の語学学習には、留学に行く前に、学術的な確立された知識を得た方がよいが、教室で学ぶだけでは不十分である。
もし語学の授業を受けて、数年後に、何を学んだかまったく覚えていなかったら、それは、第2ステップを省いたからである。それは、その言語で話をする事である。
自分の国でも出来るし、夏休みの研修や、キャンプや、身近なネイティブスピーカーと話す事も出来ただろう。インターネットで海外のニュースを読んだり、聞いたりも出来る。読書も、ラジオも、映画でも、音楽を何回も聞く事も良い。
新しい技術のおかげでネイティブスピーカーと関わる事も出来る。これらはとても強い動機付けになるだろう。
外国語の一定の能力が身に付けば、その能力が、言語の流暢さを保つには十分の、動機を与えてくれるだろう。
 
Nina Garret, "30 What does it take to learn a language well?"
E. M. Rickerson, Barry Hitton, ed., The 5 Minute Linguist (USA; Equinox Publishing Ltd., 2006)

拍手

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
言語学が大好きな一般人のブログです。 過去の記事は、軌跡として残しておきます。
カレンダー
04 2025/05 06
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
ブログ内検索
プロフィール
HN:
てぬ
性別:
女性
自己紹介:
大学院で言語学を学びたい大学生が、日々の勉強の成果を記録してゆく為の、個人サイトでした。
最新コメント
[07/22 てぬ]
[07/20 ren]
[05/24 てぬ]
[05/22 ゆう]
最新トラックバック
バーコード
P R
忍者ブログ [PR]