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削除規則の有名な例は、イ音便である。
/ k /で終わる語幹が、/ i /の前に来たとき、/ k /音が削除される規則である。
「書く」
 kak-anai:kakanai *kaanai
 kak-ite:*kakite kaite
 kak-u:kaku *kau
 kak-eba:kakeba *kaeba
 kak-oo:kakoo *kaoo
「貸す」
 kas-anai:kasanai *kaanai
 kas-itekasite *kaite
 kas-u:kasu *kau
 kas-eba:kaseba *kaeba
 kas-oo:kasoo *kaoo

従ってこの規則は、以下のようになる。
 k→Φ/_+i
「+」は、形態素の区切れを示す。
この場合は、活用語幹と活用語尾の接合部分を示している。
ウ音便も同様に説明できるので、割愛。

次は、母音が削除される規則である。
高母音削除規則と言い、まだ、日本語の表記には取り入れられていない。
「水族館」*suizoku-kan:suizokukan suizokkan
                                                      ゜
「割引券」*waribiki-ken:waribikiken waribikken
                                                       ゜
「偵察地」teisatu-ti:teisatuti *teisatti
                                            ゜
「選抜隊」senbatu-tai:senbatutai *senbattai
                                                    ゜

まず、高母音無声化規則を説明しなければならない。
日本語では、無声子音に挟まれた高母音/ i /と/ u /は、無声化する。
母音の無声とは、ささやき声を出すときのように声帯を震わせないことで、
日本語の場合は、「ーです」「ーます」などの語尾でもよく起こる。
発音字母の下に小さな「○」をつけて現す。
 i,u→[-voice]/C[-voice]_C[-voice]
        または     C[-voice]_#

これが、
形態素の句切れでかつ、/ k /に挟まれて生じるとき、完全に母音が削除される。
この現象を高母音削除規則という。
「すいぞくかん」よりかは「すいぞっかん」に近い発音である。
しかしこれは、/ k /以外の子音では起こらない。
これを式で表すと、以下のようになる。
 i,u→Φ/k_+k

参考文献
田中伸一 『日常言語に潜む音法則の世界』 開拓社 2009

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