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 以前述べた共謀関係(06/13)のように、
関係のないように見える複数の規則が、
実は同じ目的、制約を守る為に働いているという事がある。

そして、複数の言語にわたり、
複数の規則が同じの制約の為に働いていると言う事がある。
*NC「隣接する鼻音と無声阻害音の禁止」の制約である。
     °
日本語(阻害音の有声化、母音挿入)
 hum+kiru=huŋgiru「踏ん切る」、humikiru「踏み切る」
 hum+tukeru=hundukeru「踏んづける」、humitukeru「踏みつける」
インドネシア語(鼻音と阻害音の融合)
 məN+pilih=mmilih "to chose"
 məN+tulis=mnulis "to write"
ケチュア語(阻害音の有声化)
 kaN+pa=kamba "yours"
 wakiN+ta=wakinda "the others"
オシクァニャマ語(融合と有声化)
 e:N+pato=e:mati "ribs"
 oN+tana=onana "calf"
 sitampa→sitamba "stmp"
 pelanta→pelanda "print"

以後はこのような、言語に普遍的な制約に対して、注目が集まる事になる。
科学の大発見は、関係のないと思われていた規則を、包括し関係づけることである。
科学としての制約による言語学は、
統一、統合という概念を取り入れ、より大きく発展してゆく。

そしてまず注目されたのが、自律分節音韻論でのべた、OCPである。
この義務的起伏原理(Obligatiry Countor Principle)は、
今まで見てきた制約(*DD制約、*AA制約、*CC制約…)からも見て取れる。
つまり、「同じ要素が一つの層において複数存在してはならない」という原理である。

英語(*l...l制約 ただし、三音節以内)
 *simil-al/simil-ar
 *famili-al/famili-ar 
 logic-al/*logic-ar
ケラ語(*a...a制約 ただし子音ひとつ以内)
 ba+pa=*bapa, bəpa " no more"
 koroŋ+da+fadi=*koroŋdafadi, koroŋdəfadi "come here quickly"
 bal+l+a=balla, *bəlla "you must want"
その他、オロモ語の*VV...VV制約、日本語の*CC...CC制約などなど多数例が挙げられている。
このような制約の統合、「メタ制約」を公式化する動きもある。

参考文献
田中伸一 『日常言語に潜む音法則の世界』 開拓社 2009

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