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認知言語学では、あらゆる語彙を認知のレベルで分類する。
この各項目をカテゴリー(category)と呼び、
同じカテゴリーを構成する項目は、ある共通点により括られており、
隣り合うカテゴリーとの差異化をはかっている。
カテゴリーは入れ子のようにいくつもの層に分かれているが、
認知言語学で重要な層は3つある。

上部レベルカテゴリー(superordinate level category)は、
高度に抽象的で、総称としての概念である。
こどもの言語習得においては、最も遅く覚えられる語彙であるとされる。
「家具」や「動物」、「花」などがそうである。
基本レベルカテゴリー(basic level category)は最も日常的で、
すぐ頭に浮かび、生活の中での使用頻度の多い語彙である。
こどもの言語習得では一番に覚える言葉であるとされる。
「椅子」や「机」、「本棚」、「箪笥」、「ベッド」などである。
下位レベルカテゴリー(subordinate level category)は、
やや専門的で、隣り合うカテゴリーとの違いが小さく部分的である。
「座椅子」や「肘掛け椅子」、「パイプ椅子」、「車椅子」などがそうである。
このカテゴリー境界は時代地域によって異なるものである。

一般的には、基本レベルカテゴリーの内容だけが飛びぬけて多い、
フォークカテゴリー(fork category)と呼ばれる形態を持つ人が多い。
言語の語彙的には、
下位になるほど内容が大きくなる、エキスパートカテゴリー(expart category)
と呼ばれる形態になるはずであるが、そうはならない。
また、アドホックカテゴリー(ad hoc category)と呼ばれるような、
臨時的で個別的な事態に対応する形態も提唱されている。
具体的には、「写真立て」「ピアス」「カップ」「時計」「ケーキ」を包括する上位カテゴリー「誕生日プレゼント」などである。
ある特別な事態、もしくは特別な個人のなかで形成されるカテゴリーを指す。

このようなカテゴリーのなかで、典型例というものが注目される。
カテゴリーの構成員としてまず始めに思い浮かぶもの、
それをプロトタイプ(prototype)と言い、個人によって差のあるものだが、
社会や世代で大きな傾向が生じる。
例えば、「鳥」。
日本で最も「鳥らしい鳥」と言えば「すずめ」や「鳩」が挙がりそうである。
アメリカの大学生を調査した結果では、「コマドリ」が一位にあげられた。
カテゴリーは、もっとも「らしい」プロトタイプを中心に、
「らしくない」例、「ペンギン」や「ダチョウ」など、を周辺部に置く、円を描くように説明される。
人は言語習得において、プロトタイプを中心にカテゴリーを形成してゆくという
プロトタイプ理論(prototype theory)が提唱されている。

参考文献
吉村公宏 『はじめての認知言語学』 研究社 2004

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