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破裂音には、様々な形態があり、それを細かく記述するために、
複数の補助記号が存在している。

まず閉鎖音(stop)がある。
破裂音の3段階、閉鎖、閉鎖の持続、開放の、
最後の開放を行わない発声である。
特に、語末の破裂音子音で見られる。
そのため日本には無い発音であるが、
隣の韓国では一般的に用いられる重要な発音である。
stop.jpg
表記には、字母に小さい鉤()をつけて表す。
日本語のアクセント記号と似ているため要注意である。

] 鼻腔開放(nasal release)
開放の際に、口蓋穂を下げ、鼻腔へ空気が少量流れるように発音する。
英語の"button"など、鼻音が続く場合に起こりやすい。
記号は上付きの小文字のN。
ˡ ] 側面開放(laateral release)
開放の際に、舌を調音点に付けたまま、側面だけ開放して発音する。
英語の"riddle"など、側面音が続く場合に起こりやすい。
記号は上付きの小文字のL。

参考文献
斉藤純男 『日本語音声学入門 改訂版』 三省堂 2008

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前回と同様に今回も、
破裂音の開放に関する補助記号である。
破裂音の開放に長い時間をかけることで、
調音点で接近した摩擦音が瞬間的に生じる。
このように、破裂音と摩擦音の中間、破擦音(affricate)が発声される。
両唇破裂音と唇歯摩擦音、歯茎破裂音と歯摩擦音などの多少のズレはあるが、
同じ調音位置での破裂音と摩擦音の調音である。
これを同器官的(homoorganic)という。

記号は二重調音と同様に、
2つの記号を曲線で繋いだものである。
06fb73c4.jpeg
二重調音とは違い、調音位置が同じ記号が並ぶので十分に見分けが付く。
類似点は、有声音は有声音と、無声音は無声音とセットになることである。
日本語の「ツ」「ザ」「チャ」「ジャ」をはじめ、
ヨーロッパの言語でも多く見られる音声である。

参考文献
斉藤純男 『日本語音声学入門 改訂版』 三省堂 2008

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破裂音に有声の母音が続く場合を考える。
鼻腔を塞ぎ、口腔内で閉鎖を作ると、
開いたままの声門から、肺臓気流がどんどん口腔へ流れ込む。
閉鎖の開放と共に有声母音を発声するために
声門が狭まり、呼気の流れは弱まる。
しかし、閉鎖の開放と有声母音の発声に若干の時間差が生じたとする。
声帯の振動は神経の動きではなく
物理的な振動であるため、そんなに素早く開始できない。
この時の調音器官の状態は、
声帯が開き、口腔が開放され、肺からの空気を遮断するものは何も無い。
このときの空気を気音(aspiration)と言い、
気音を伴った子音を有気音(aspirated)、もしくは帯気音という。
一般的にデモンストレートされるものとしては、
ティッシュペーパーを口の前にぶら下げて発声すると、
有気音は大きく揺れるのに対し、
無気音はほとんど風が起こらない。

記号は字母の右側に小さい小文字のHʰ ]を添えて表記する。
韓国語や中国語では音素として区別されるほか、
英語では"pot"と"spot"の例が挙げられる。
一般的に語頭や、強勢のある母音直前の破裂音は有気音であり、
"s"の直後の破裂音は無気音として発声される傾向がある。

参考文献
斉藤純男 『日本語音声学入門 改訂版』 三省堂 2008

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通常、口音では、口蓋帆によって鼻腔への通路は妨げられているが、
調音時に、鼻腔へも呼気が抜けるように発音することを、
鼻音化(nasalization)という。
記号は上付きの[ ~ ]を用い、[ẽ][z̃]のように表記する。

破裂音の時に紹介した、破裂鼻音も、この仲間である。
日本語では「ガ」の鼻濁音などと呼ばれて、
アナウンサーや声の仕事をする人は今でも厳しく教え込まれるという。
ちなみに、関西には鼻濁音の文化が無い。
鼻音化は母音にも良く起こり、
フランス語などでは音素になっている。

参考文献
斉藤純男 『日本語音声学入門 改訂版』 三省堂 2008

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喉頭化とは、広い意味では、喉頭の筋肉を緊張して行う発音を言い、
狭い意味では、声門がわずかに開いて緩やかな声帯振動を伴う発声方法である。

広い意味の固い声(stiff voice)は朝鮮語やタイ語などの「が」「だ」などを指す。
日本語と比べれば「か」と「が」の中間のような、
狭い声帯振動を伴う発音である。
狭い意味での軋み声(creaky voice)と呼ばれる発音は、
声が低いと生じやすく、
頻繁に発生する人も少なくない。
アフリカの言葉では、音素として存在している。
両方とも記号は下付きの[ ~ ]で表す。

整理しておくと、[ ~ ](ティルデ)の記号を用いるのは3種あり、
下に付くと喉頭化、
上に付くと鼻音化、
真ん中に重ね書きすると、軟口蓋化あるいは咽頭化である。

参考文献
斉藤純男 『日本語音声学入門 改訂版』 三省堂 2008

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