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国際音声記号(IPA: International Phonetic Alphabet)は、
国際音声学会(IPA: International Phonetic Association)が定めた、
万国共通の表音文字である。
一つの音に対して、一つの文字が対応している。
世界の言葉全てを記述するために、
ローマ字のように、国ごとに発音が異なることがないように、
1888年に発表され、その後何回も改訂されている。
ここで紹介するのは2005年改訂版である。
論文を読む際には、改訂の際の差に要注意である。
下の表は、wikipediaで拾ったものである。
b2b31b2b.jpeg

IPAの子音の分類は、
調音位置調音方法と、有声・無声による。
調音器官を使い、呼気の流れを妨害し発生する乱流により、音が出る。

IPAの母音の分類基準は、
舌の位置(調音位置)と、口の開き方と、唇の形である。
母音は、子音のような呼気の妨害が無く、持続的な音である。

どのように調音器官を動かして音声を発しているかと言う研究は、
調音音声学(articulatory hponetics)と言い、
音声学の中で大きな部分を占めている。

参考文献
斉藤純男 『日本語音声学入門 改訂版』 三省堂 2008

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破裂音(plosive)の発声段階は3つに別れる。
呼気の流れの閉鎖、その持続、そして開放である。
呼気が開放されるときの、閉鎖の破裂に注目してつけられた名前である。

[ p ] 無声両唇破裂音(voiceless bilabial plosive)
[ b ] 有声両唇破裂音(voiced bilalial plosive)
口蓋帆があがり、鼻腔への空気の流れを遮断すると共に、
両唇で閉鎖、開放を行って発声する。
声帯振動が無ければ[ p ]、声帯振動を伴えば[ b ]である。
共に、多くの言語に採用されている子音である。

[ t ] 無声歯茎破裂音(voiceless alveolar plosive)
[ d ]  有声歯茎破裂音(voiced alveolar plosive)
口蓋帆があがり、鼻腔への空気の流れを遮断すると共に、
舌端と上歯茎を使って閉鎖と開放を行い、発声する。
声帯振動が無ければ[ t ]、声帯振動を伴えば[ d ]である。
両唇破裂音と同じく、多くの言語で採用されている一般的な子音である。

[ ʈ ] 無声そり舌破裂音(voiceless retroflex plosive)
[ ɖ ] 有声そり舌破裂音(voiced retroflex plosive)
口蓋帆があがり、鼻腔への空気の流れを遮断すると共に、
舌先を丸めるように、舌尖と後部歯茎を使って閉鎖と開放を行い、発声する。
声帯振動が無ければ[ ʈ ]、声帯振動を伴えば[ ɖ ]である。
インド系の言語に多く見られる。

[ c ] 無声硬口蓋破裂音(voiceless palatal plosive)
[ ɟ ] 有声硬口蓋破裂音(voiced palatal plosive)
口蓋帆があがり、鼻腔への空気の流れを遮断すると共に、
前舌(舌の中央部)と硬口蓋を使って閉鎖と開放を行い、発声する。
声帯振動が無ければ[ c ]、声帯振動を伴えば[ ɟ ]である。
アルバニア語、チェコ語、ハンガリー語などに見られる。
日本語の「きゃ」「ぎゃ」の発音に近い。

[ k ] 無声軟口蓋破裂音(voiceless velar plosive)
[ g ] 有声軟口蓋破裂音(voiced velar plosive)
口蓋帆があがり、鼻腔への空気の流れを遮断すると共に、
後舌と軟口蓋を使って閉鎖と開放を行い、発声する。
声帯振動が無ければ[ k ]、声帯振動を伴えば[ g ]である。
日本語をはじめ、多くの言語に採用されている。

[ q ] 無声口蓋垂破裂音(voiceless uvular plosive)
[ ɢ ] 有声口蓋垂破裂音(voiced uvular plosive)
口蓋帆があがり、鼻腔への空気の流れを遮断すると共に、
後舌と口蓋垂(軟口蓋のふち)を使って閉鎖と開放を行い、発声する。
声帯振動が無ければ[ q ]、声帯振動を伴えば[ ɢ ]である。
無声口蓋垂破裂音はアラビア語あカザフ語で見られる。
有声口蓋垂破裂音はモンゴル語で見られる。

[ ʔ ] 声門破裂音(glottal plosive)
口蓋帆があがり、鼻腔への空気の流れを遮断すると共に、
声門を使って閉鎖と開放を行い、発声する。
無声と分類されるが、有声音の発声は生理的に不可能である。
「あ、あ、あ、あ、あ、あ」と言うときの、声門のみでの調音である。
ドイツ語やアラビア語に見られる。
訓練すると、声門を開放するときの生理的な音が聞こえたりする。

参考文献
斉藤純男 『日本語音声学入門 改訂版』 三省堂 2008

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鼻音(nasal)は、文字通り、鼻から息を出す発声である。
鼻腔への呼気の流れを阻害しないと言う点以外では、
[ b ]や[ d ]など有声破裂音と同じである。
鼻から息が抜けているので、破裂音のような勢いは無い。
鼻音と反対で、口から息を出す音声を口音(oral)と言う。

[ m ] 有声両唇鼻音(voiced bilalial nasal)
口蓋帆が下がった状態で、呼気が鼻腔を通り、
両唇で閉鎖を作って、開放する。

[ ɱ ] 有声唇歯鼻音(voiced ladiodental nasal)
口蓋帆が下がった状態で、呼気が鼻腔を通り、
下唇と上歯で閉鎖を作って、開放する。
[ f ]や[ v ]の直前の[ m ]と[ n ]はこの発音になりやすい。

[ n ] 有声歯茎鼻音(voiced alveolar nasal)
口蓋帆が下がった状態で、呼気が鼻腔を通り、
舌端と上歯茎で閉鎖を作って、開放する。

[ ɳ ] 有声そり舌鼻音(voiced retroflex nasal)
口蓋帆が下がった状態で、呼気が鼻腔を通り、
舌先を丸めるように、舌尖と後部歯茎で閉鎖を作って、開放する。
インド系の言語に良く見られる。

[ ɲ ] 有声硬口蓋鼻音(voiced palatal nasal)
口蓋帆が下がった状態で、呼気が鼻腔を通り、
前舌と硬口蓋で閉鎖を作って、開放する。
ハンガリー語などに見られ、日本語の「にゃ」に近い音である。

ŋ ] 有声軟口蓋鼻音(voiced velar nasal)
口蓋帆が下がった状態で、呼気が鼻腔を通り、
後舌と軟口蓋で閉鎖を作って、開放する。
日本語での[ k ]と[ g ]の前の「ん」や鼻濁音の発音である。
[ m ]と[ n ]と同じく多くの言語に見られる。

[ ɴ ] 有声口蓋垂鼻音(voiced uvular nasal)
口蓋帆が下がった状態で、呼気が鼻腔を通り、
後舌と軟口蓋の縁で閉鎖を作って、開放する。
日本語で「あ」「う」「お」の後に来る「ん」は、この発音であることが多い。

無声の鼻音は身体的に発音できないとされているが、
補助記号を用いて、表記することは可能である。
それはまた後日。

参考文献
斉藤純男 『日本語音声学入門 改訂版』 三省堂 2008

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ふるえ音(trill)は、調音器官が同じ動きを繰り返すことによって、
瞬間的な閉鎖が複数回生じる現象の音声である。
力を入れすぎると発音できない。

[ ʙ ] 有声両唇ふるえ音(voiced bilabial trill)
口蓋帆があがり、鼻腔への空気の流れを遮断すると共に、
両唇をぶぶぶぶぶぶと震えさせて発声する。
パプアニューギニアの部族の言葉や、
ヨーロッパ語の歯茎ふるえ音の異音(方言)として表れる。

[ r ] 有声歯茎ふるえ音(voiced aveolar trill)
口蓋帆があがり、鼻腔への空気の流れを遮断すると共に、
上歯茎に軽くあてた舌端をるるるるるると震わせて発声する。
いわゆる巻き舌であり、日本語のラ行に用いられることもある。
ヨーロッパでは一般的な音素であり、ロシア語やスペイン語、イタリア語などで使われる。

[ ʀ ] 有声口蓋垂ふるえ音(voiced uvular trill)
口蓋帆があがり、鼻腔への空気の流れを遮断すると共に、
後舌にあてた口蓋垂を、んががががががと震わせて発声する。
古代ラテン語や、フランス語やドイツ語などでは主要な音素である。

参考文献
斉藤純男 『日本語音声学入門 改訂版』 三省堂 2008

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はじき音(flap)は、ふるえ音のような瞬間的な閉鎖を一回だけする。
「らりるれろ」と発音したときの、
一瞬舌が上あごに触れるような調音である。

[ ɾ ] 有声歯茎はじき音(voiced aveolar flap)
口蓋帆があがり、鼻腔への空気の流れを遮断すると共に、
舌尖を上歯茎に一回当てることで発声する。
狭義には、たたき音(tap)と言う。
日本語の、母音に挟まれたラ行の発音である。
英語では"matter"や"little"の"-tt-"が、発話ではたたき音化する。

[ ɽ ] 有声そり舌はじき音(voiced retroflex flap)
口蓋帆があがり、鼻腔への空気の流れを遮断すると共に、
舌先を丸めるように、舌尖を後部歯茎に一回あてて発音する。
狭義にはこれを、はじき音という。
発音する際、舌先の裏が歯茎にべたっとつくのが、たたき音との違いである。
インド系の言語や、スウェーデン語、ノルウェー語に見られる。

参考文献
斉藤純男 『日本語音声学入門 改訂版』 三省堂 2008

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