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さて、言語は人間特有のものであるのか、という問いについて話をしてきたが
答えはこうである。
「言語を人間言語と定義し、特定の構造の性質に重きを置くならば、
当然ながら、言語は人間に特有のものであるだろう。」


そして新たな疑問が生じるだろう。
言語は、遺伝的、先天的才能として生まれ持ったものであるのか。

「人間」と言う種に生まれたことが、
遺伝子レベルで特異なものであるということも出来るだろうが、
料理をし、服を着ることが、遺伝子による行動だと言えるだろうか。
サルに、自ら人間言語を学ぶように説得することは出来ない。
チンパンジー達は人間のマネをすることは出来るが、それは偽物でしかない。
人間が言語を扱うということは、
他の動物たちには実証できない、種に普遍的な特徴である。
したがって、遺伝子の功績(genetic accomplishment)である。

それでは、遺伝的な才能 (genetic endowment)であるのか。
これには議論の余地がある。
この問題は、言語学者のノーム・チョムスキーが研究している課題である。

言語が人間特有なものであるということは、
説明しがたい事実によって証明されている。
その一つが、あまりにも簡単に、子供達が言葉を覚えることである。
オウム返しのモノマネではなく、
聞いた事の無いような発話をすることが出来る。
聞いた事の無い発話…
「黄色いカラスが、机の上で跳び箱を壊す」のような。

習得とは、物事の蓄積だけではなく、調整をすることが必要である。
この調整をする能力として、
チョムスキーは言語習得装置(LAD:Language Acquisition Device)を提案した。
実際に出会った言語データから、規則を抽出する能力である。
そしてこの装置は普遍文法(UG:Universal Grammar)を備えている。
UGは排他的な文法構造の共通する規則のセットであり、
言語の要素によって、異なる設定が与えられる。

子供は、言語の文法規則を、すべて頭に刻み込む必要は無い。
テレビの設定画面で、明るさ、コントラスト、音量を調節するように、
あらゆる言語に共通する項目(要素)について、
日本語なら日本語の、
決まった値に設定することが出来る装置が、LADである。

要素は、先天的で、既に用意されており、人間の遺伝的な部分である。
設定は、環境、周囲で使われている言語によって変わる。
つまり、要素に関して言えば、すべての言語は似ており、
設定に関して言えば、すべての言語は異なっている。

チョムスキーによると、
人間には、種に特有の、言語に関するプログラムが装備されており、
それは人間の他の能力とは、本質的に異なっている。

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