簡単にいうと、音韻論(phnology)とは「音声の文法」の学問である。
発生された実際の音声の、調音方法、
高さ、強さ、長さ、などを研究する音声学(phonetics)と、しばしば対立する。
音韻論は、文化、歴史、社会、類型などと関わりをもち、
構造的な、抽象的な言語体形の要素としての音素を前提としている。
一方音声学は、生理学、音響学、心理学、認知科学と関わりをもち、
科学的実体、現象としての観点から研究をする。
例えば、色のスペクトル(可視光線)の見方である。
虹の色を7色と見るか、5色と見るかは、文化によって異なることは有名である。
7色(赤橙黄緑青藍紫):日本、フランス、ミャオ族(中国)
6色(赤橙黄緑青紫):イギリス、アメリカ
5色(赤黄緑青紫):中国、ドイツ
4色(赤黄緑青):イスラム圏
3色(赤緑青):中世ヨーロッパ
2色(赤青):バイガ族(インド)、バサ族(リベリア)
音も、光と同じ振動であるから、
音(可聴音域)の連続体をどのように分割するかも、文化によって異なる。
人間の脳のフィルターを通すと短母音は以下のように体系化される。)
11音(A,Q,ʌ,ɔ,o,U,u,E,e,I,i):英語
7音(A,ɔ,o,u,E,e,i):イタリア語トスカーナ方言、リンガラ語(コンゴ)
6音(A,o,u,E,e,i):ギリシャ語
5音(A,o,u,e,i):日本語、スペイン語、ハワイ語
3音(A,u,i):アラビア語、琉球語
これら、実際に橙が何ヘルツであるだとか、
「あ」と「う」の境界がどうなっていると言うことを、問題にしていない。
文化によって必要最小限に区切られた連続体は、
脳の構造の問題ではなく、抽象的知識の問題である。
ラングとパロール、言語能力と言語運用のように、
音韻論と音声学は表裏一体の問題であり、相互補完的な学問である。
参考文献
田中伸一 『日常言語に潜む音法則の世界』 開拓社 2009
発生された実際の音声の、調音方法、
高さ、強さ、長さ、などを研究する音声学(phonetics)と、しばしば対立する。
音韻論は、文化、歴史、社会、類型などと関わりをもち、
構造的な、抽象的な言語体形の要素としての音素を前提としている。
一方音声学は、生理学、音響学、心理学、認知科学と関わりをもち、
科学的実体、現象としての観点から研究をする。
例えば、色のスペクトル(可視光線)の見方である。
虹の色を7色と見るか、5色と見るかは、文化によって異なることは有名である。
7色(赤橙黄緑青藍紫):日本、フランス、ミャオ族(中国)
6色(赤橙黄緑青紫):イギリス、アメリカ
5色(赤黄緑青紫):中国、ドイツ
4色(赤黄緑青):イスラム圏
3色(赤緑青):中世ヨーロッパ
2色(赤青):バイガ族(インド)、バサ族(リベリア)
音も、光と同じ振動であるから、
音(可聴音域)の連続体をどのように分割するかも、文化によって異なる。
人間の脳のフィルターを通すと短母音は以下のように体系化される。)
11音(A,Q,ʌ,ɔ,o,U,u,E,e,I,i):英語
7音(A,ɔ,o,u,E,e,i):イタリア語トスカーナ方言、リンガラ語(コンゴ)
6音(A,o,u,E,e,i):ギリシャ語
5音(A,o,u,e,i):日本語、スペイン語、ハワイ語
3音(A,u,i):アラビア語、琉球語
これら、実際に橙が何ヘルツであるだとか、
「あ」と「う」の境界がどうなっていると言うことを、問題にしていない。
文化によって必要最小限に区切られた連続体は、
脳の構造の問題ではなく、抽象的知識の問題である。
ラングとパロール、言語能力と言語運用のように、
音韻論と音声学は表裏一体の問題であり、相互補完的な学問である。
参考文献
田中伸一 『日常言語に潜む音法則の世界』 開拓社 2009
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ある単音が、音素として存在していることの証拠として、
最小対(minimal pair)という概念がある。
ある部分が最小限に対立し、その他の部分は同形式を持つものである。
英語で言うと"rock"と"lock"や、"right"と"light"があげられる。
このれの最小対から、/ r /と/ l /が異なる音素として存在していることが分かる。
日本語では「閑古」「頑固」や、「解答」「外灯」などがあり、
/ k /と/ g /が異なる音素であることが分かる。
音声の表記についての慣習として、以下の式があげられる。
/音素/→規則→[音声]
音素とは抽象的な知識であり、
それが、ある規則を通ることによって、実際の音声として生じるのである。
音素の規則には以下の四つのパターンがある。
a) 完全対立
b) 中和
c) 異音変異
d) 無対立
a) 完全対立
前述の"rock"と"lock"のように、完全に別の音素として存在しているとき。
r → r
l → l
b) 中和(neutralozation)
ある言語文化には存在する音素の対立が、一定の条件で、対立無くなってしまう時。
例えば、青森の方言では
「柿」/kagi/と「鍵」/kaŋi/、「茎」/kugi/と「釘」/kuŋi/の最小対の存在から
、/ g /と/ ŋ /の完全な音素対立が確認できるが、
語頭では、それが確認できなくなってしまう。
「下駄」は*/ŋeda/ではなく/geda/であり、「ごみ」は*/ŋomi/ではなく/gomi/である。
(言語学では、*印を、非文法的であったり、存在しない語や文章の前に付ける。)
これらの関係を式で表すと以下のようになる。
ŋ→g/#_
この式は、スラッシュ(/)の左が音韻規則、右側が規則の発生位置となっている。
音韻規則は、/ ŋ /が/ g /に変化することである。
シャープ(#)が語と語の間を示し、アンダーバー(_)が発生位置を示す。
従って、「語頭において、/ ŋ /は[ g ]に変わる」という式である。
c) 異音変異(allophonic variation)
これは、もともと一つの音素が、ある条件下で二つの音に変化する現象である。
東京方言での、語中の/ g /の鼻音化が良い例である。
東京方言では「鍵」を[kaŋi]と言い、「釘」を[kuŋi]と言うが、*[kagi]*[kugi]
「下駄」は[geta]であり、「ごみ」も[gomi]である。*[ŋeta]*[ŋomi]
このような[ g ]と[ ŋ ]のように、一方が現れるときは、他方は現れないような関係を、
相補分布(complementary distributin)と言う。
したがって、最小対は存在しないので、この二つは対立する音素ではない。
この関係を式で表すと以下のようになる。
g→ŋ/V_V
Vは母音(vowel)の頭文字であるので、この式は、
「母音にはさまれた/ g /は[ ŋ ]に変わる。」の意味である。
d) 無対立
大阪の方言には/ ŋ /と言う音素も、[ ŋ ]という音声も存在しない。
従って、青森や東京に見られるような/ g /と/ ŋ /の対立関係が無い。
東京方言の語中の鼻音化は、
もうほとんどの世代で無くなり、[ g ]でも[ ŋ ]でもどちらで発音しても問題ない。
このような異音を自由変異(free variation)と言う。
異音については「音声と音素(05/07)」参照。
参考文献
田中伸一 『日常言語に潜む音法則の世界』 開拓社 2009
最小対(minimal pair)という概念がある。
ある部分が最小限に対立し、その他の部分は同形式を持つものである。
英語で言うと"rock"と"lock"や、"right"と"light"があげられる。
このれの最小対から、/ r /と/ l /が異なる音素として存在していることが分かる。
日本語では「閑古」「頑固」や、「解答」「外灯」などがあり、
/ k /と/ g /が異なる音素であることが分かる。
音声の表記についての慣習として、以下の式があげられる。
/音素/→規則→[音声]
音素とは抽象的な知識であり、
それが、ある規則を通ることによって、実際の音声として生じるのである。
音素の規則には以下の四つのパターンがある。
a) 完全対立
b) 中和
c) 異音変異
d) 無対立
a) 完全対立
前述の"rock"と"lock"のように、完全に別の音素として存在しているとき。
r → r
l → l
b) 中和(neutralozation)
ある言語文化には存在する音素の対立が、一定の条件で、対立無くなってしまう時。
例えば、青森の方言では
「柿」/kagi/と「鍵」/kaŋi/、「茎」/kugi/と「釘」/kuŋi/の最小対の存在から
、/ g /と/ ŋ /の完全な音素対立が確認できるが、
語頭では、それが確認できなくなってしまう。
「下駄」は*/ŋeda/ではなく/geda/であり、「ごみ」は*/ŋomi/ではなく/gomi/である。
(言語学では、*印を、非文法的であったり、存在しない語や文章の前に付ける。)
これらの関係を式で表すと以下のようになる。
ŋ→g/#_
この式は、スラッシュ(/)の左が音韻規則、右側が規則の発生位置となっている。
音韻規則は、/ ŋ /が/ g /に変化することである。
シャープ(#)が語と語の間を示し、アンダーバー(_)が発生位置を示す。
従って、「語頭において、/ ŋ /は[ g ]に変わる」という式である。
c) 異音変異(allophonic variation)
これは、もともと一つの音素が、ある条件下で二つの音に変化する現象である。
東京方言での、語中の/ g /の鼻音化が良い例である。
東京方言では「鍵」を[kaŋi]と言い、「釘」を[kuŋi]と言うが、*[kagi]*[kugi]
「下駄」は[geta]であり、「ごみ」も[gomi]である。*[ŋeta]*[ŋomi]
このような[ g ]と[ ŋ ]のように、一方が現れるときは、他方は現れないような関係を、
相補分布(complementary distributin)と言う。
したがって、最小対は存在しないので、この二つは対立する音素ではない。
この関係を式で表すと以下のようになる。
g→ŋ/V_V
Vは母音(vowel)の頭文字であるので、この式は、
「母音にはさまれた/ g /は[ ŋ ]に変わる。」の意味である。
d) 無対立
大阪の方言には/ ŋ /と言う音素も、[ ŋ ]という音声も存在しない。
従って、青森や東京に見られるような/ g /と/ ŋ /の対立関係が無い。
東京方言の語中の鼻音化は、
もうほとんどの世代で無くなり、[ g ]でも[ ŋ ]でもどちらで発音しても問題ない。
このような異音を自由変異(free variation)と言う。
異音については「音声と音素(05/07)」参照。
参考文献
田中伸一 『日常言語に潜む音法則の世界』 開拓社 2009
無標性(unmarkedness)とは、言語にとって基本的かつ一般的な性質であり、
有標性(markedness)とは、複雑で特殊なものを含む性質である。
これは言語の普遍性多様性にとって重要な概念である。
言語未修得の幼児の言葉(喃語)は、どの言語文化でも変わらない。
習得過程において、無標なものから習得し、
より有標なものへと多様性を身につけていくとされる。
幼児の言語獲得などからも、この無標・有標の対立の研究がなされている。
有標なものを含む体系は、通常、無標なものも含む。
虹の例(05/16)を考えると、
「赤」と「青」が無標となる。
つまり、より有標な色「緑」を含む文化では、必ず、「赤」と「青」を含む。
また、「紫」は「黄」よりも有標であるため、
虹の色に「紫」を含む体系は、必ず「黄」を含む、と言える。
同様なことが、母音の体系に関しても言える。
母音の最も無標なものは「a,u,i」とされるため、
より有標な「e」を含む体系には、必ず無標の三つの母音が含まれる、とされる。
例には挙げていないが、
大規模な言語データの調査によると、子音に関しても、
ある音を持っている言語体系は、通常、より無標である音をもっている、と主張することが出来る。
昨日述べた中和(neutrakization)とは、
有標な音が、ある条件化で無標の音となることだ、と言うことが出来る。
したがって青森方言では、語頭では有標音/ N /が、より無標である/ g /へと中和されると言う。
英語では、接辞によって強勢がなくなった母音を、
すべて曖昧母音[ə]で発音するという中和が見られる。
参考文献
田中伸一 『日常言語に潜む音法則の世界』 開拓社 2009
有標性(markedness)とは、複雑で特殊なものを含む性質である。
これは言語の普遍性多様性にとって重要な概念である。
言語未修得の幼児の言葉(喃語)は、どの言語文化でも変わらない。
習得過程において、無標なものから習得し、
より有標なものへと多様性を身につけていくとされる。
幼児の言語獲得などからも、この無標・有標の対立の研究がなされている。
有標なものを含む体系は、通常、無標なものも含む。
虹の例(05/16)を考えると、
「赤」と「青」が無標となる。
つまり、より有標な色「緑」を含む文化では、必ず、「赤」と「青」を含む。
また、「紫」は「黄」よりも有標であるため、
虹の色に「紫」を含む体系は、必ず「黄」を含む、と言える。
同様なことが、母音の体系に関しても言える。
母音の最も無標なものは「a,u,i」とされるため、
より有標な「e」を含む体系には、必ず無標の三つの母音が含まれる、とされる。
例には挙げていないが、
大規模な言語データの調査によると、子音に関しても、
ある音を持っている言語体系は、通常、より無標である音をもっている、と主張することが出来る。
昨日述べた中和(neutrakization)とは、
有標な音が、ある条件化で無標の音となることだ、と言うことが出来る。
したがって青森方言では、語頭では有標音/ N /が、より無標である/ g /へと中和されると言う。
英語では、接辞によって強勢がなくなった母音を、
すべて曖昧母音[ə]で発音するという中和が見られる。
参考文献
田中伸一 『日常言語に潜む音法則の世界』 開拓社 2009
中和や異音変化など、
音韻規則の公式は、3つの種類に分類される。
①素性変化規則:A→B/C_D CとDの間で、AがBに変化する。
②削除規則:A→Φ/C_D CとDの間で、Aが無くなる。
③挿入規則:Φ→A/C_D CとDの間で、Aが生じる。
Φとは、空であることを意味する記号である。
この式を応用させ、音韻規則のほとんどを示すことが出来る。
たとえば、日本語の「ん」の発音に見られる、同化規則である。
maku「巻く」、naku「泣く」、*ŋaku
mimpou「民法」、nimpou「忍法」、*ŋimpou
sampou「三法」、santou「三頭」、saŋkou「三校」
sambai「三杯、」sandai「三台」、saŋgai「三階」
以上の最小対と擬似最小対から、以下の式が導き出せる。
C[+nasal]→C[α place]/_C[α place]
Cとは子音(Consonant)の頭文字であり、
[かぎ括弧]で囲まれたものは、その音声の調音の性質を示す。
プラス(+)はその性質を持っていることであるし、
マイナス(-)は、その性質を持っていないことである。
位置(place)はその子音の調音位置であり、変数(α)により指示出来る。
つまり、この文章を書き下すと、
「αで調音する子音の前では、鼻音子音はαで調音する鼻音に変わる。」
/ p /と/ b /は両唇を閉じて調音する。
従ってこの2つの前に現れる鼻音は、両唇で調音する[ m ]である。
/ t /と/ d /は歯茎に下を当てるので、同じように調音する[ n ]、
/ k /と/ g /は軟口蓋に下を当てるので、[ ŋ ]と発音する。
これはより滑らかな発音をする為にとても自然な現象で、同様のことが英語にも言える。
しかし、母音の前や語末の鼻音に関しては異なる。
日本語では、母音の前や語末では、鼻音は口蓋垂音[N]となる。
軟口蓋よりもっと奥で、少し舌をあげれば口腔が塞がれる。
reNai「恋愛」、kiNiro「金色」、hoN「本」、seN「線」
一方、英語はしっかりと、歯茎での調音をしている。
inappropriate、inequal、in、on
参考文献
田中伸一 『日常言語に潜む音法則の世界』 開拓社 2009
音韻規則の公式は、3つの種類に分類される。
①素性変化規則:A→B/C_D CとDの間で、AがBに変化する。
②削除規則:A→Φ/C_D CとDの間で、Aが無くなる。
③挿入規則:Φ→A/C_D CとDの間で、Aが生じる。
Φとは、空であることを意味する記号である。
この式を応用させ、音韻規則のほとんどを示すことが出来る。
たとえば、日本語の「ん」の発音に見られる、同化規則である。
maku「巻く」、naku「泣く」、*ŋaku
mimpou「民法」、nimpou「忍法」、*ŋimpou
sampou「三法」、santou「三頭」、saŋkou「三校」
sambai「三杯、」sandai「三台」、saŋgai「三階」
以上の最小対と擬似最小対から、以下の式が導き出せる。
C[+nasal]→C[α place]/_C[α place]
Cとは子音(Consonant)の頭文字であり、
[かぎ括弧]で囲まれたものは、その音声の調音の性質を示す。
プラス(+)はその性質を持っていることであるし、
マイナス(-)は、その性質を持っていないことである。
位置(place)はその子音の調音位置であり、変数(α)により指示出来る。
つまり、この文章を書き下すと、
「αで調音する子音の前では、鼻音子音はαで調音する鼻音に変わる。」
/ p /と/ b /は両唇を閉じて調音する。
従ってこの2つの前に現れる鼻音は、両唇で調音する[ m ]である。
/ t /と/ d /は歯茎に下を当てるので、同じように調音する[ n ]、
/ k /と/ g /は軟口蓋に下を当てるので、[ ŋ ]と発音する。
これはより滑らかな発音をする為にとても自然な現象で、同様のことが英語にも言える。
しかし、母音の前や語末の鼻音に関しては異なる。
日本語では、母音の前や語末では、鼻音は口蓋垂音[N]となる。
軟口蓋よりもっと奥で、少し舌をあげれば口腔が塞がれる。
reNai「恋愛」、kiNiro「金色」、hoN「本」、seN「線」
一方、英語はしっかりと、歯茎での調音をしている。
inappropriate、inequal、in、on
参考文献
田中伸一 『日常言語に潜む音法則の世界』 開拓社 2009
削除規則の有名な例は、イ音便である。
/ k /で終わる語幹が、/ i /の前に来たとき、/ k /音が削除される規則である。
「書く」
kak-anai:kakanai *kaanai
kak-ite:*kakite kaite
kak-u:kaku *kau
kak-eba:kakeba *kaeba
kak-oo:kakoo *kaoo
「貸す」
kas-anai:kasanai *kaanai
kas-ite:kasite *kaite
kas-u:kasu *kau
kas-eba:kaseba *kaeba
kas-oo:kasoo *kaoo
従ってこの規則は、以下のようになる。
k→Φ/_+i
「+」は、形態素の区切れを示す。
この場合は、活用語幹と活用語尾の接合部分を示している。
ウ音便も同様に説明できるので、割愛。
次は、母音が削除される規則である。
高母音削除規則と言い、まだ、日本語の表記には取り入れられていない。
「水族館」*suizoku-kan:suizokukan suizokkan
゜
「割引券」*waribiki-ken:waribikiken waribikken
゜
「偵察地」teisatu-ti:teisatuti *teisatti
゜
「選抜隊」senbatu-tai:senbatutai *senbattai
゜
まず、高母音無声化規則を説明しなければならない。
日本語では、無声子音に挟まれた高母音/ i /と/ u /は、無声化する。
母音の無声とは、ささやき声を出すときのように声帯を震わせないことで、
日本語の場合は、「ーです」「ーます」などの語尾でもよく起こる。
発音字母の下に小さな「○」をつけて現す。
i,u→[-voice]/C[-voice]_C[-voice]
または C[-voice]_#
これが、
形態素の句切れでかつ、/ k /に挟まれて生じるとき、完全に母音が削除される。
この現象を高母音削除規則という。
「すいぞくかん」よりかは「すいぞっかん」に近い発音である。
しかしこれは、/ k /以外の子音では起こらない。
これを式で表すと、以下のようになる。
i,u→Φ/k_+k
参考文献
田中伸一 『日常言語に潜む音法則の世界』 開拓社 2009
/ k /で終わる語幹が、/ i /の前に来たとき、/ k /音が削除される規則である。
「書く」
kak-anai:kakanai *kaanai
kak-ite:*kakite kaite
kak-u:kaku *kau
kak-eba:kakeba *kaeba
kak-oo:kakoo *kaoo
「貸す」
kas-anai:kasanai *kaanai
kas-ite:kasite *kaite
kas-u:kasu *kau
kas-eba:kaseba *kaeba
kas-oo:kasoo *kaoo
従ってこの規則は、以下のようになる。
k→Φ/_+i
「+」は、形態素の区切れを示す。
この場合は、活用語幹と活用語尾の接合部分を示している。
ウ音便も同様に説明できるので、割愛。
次は、母音が削除される規則である。
高母音削除規則と言い、まだ、日本語の表記には取り入れられていない。
「水族館」*suizoku-kan:suizokukan suizokkan
゜
「割引券」*waribiki-ken:waribikiken waribikken
゜
「偵察地」teisatu-ti:teisatuti *teisatti
゜
「選抜隊」senbatu-tai:senbatutai *senbattai
゜
まず、高母音無声化規則を説明しなければならない。
日本語では、無声子音に挟まれた高母音/ i /と/ u /は、無声化する。
母音の無声とは、ささやき声を出すときのように声帯を震わせないことで、
日本語の場合は、「ーです」「ーます」などの語尾でもよく起こる。
発音字母の下に小さな「○」をつけて現す。
i,u→[-voice]/C[-voice]_C[-voice]
または C[-voice]_#
これが、
形態素の句切れでかつ、/ k /に挟まれて生じるとき、完全に母音が削除される。
この現象を高母音削除規則という。
「すいぞくかん」よりかは「すいぞっかん」に近い発音である。
しかしこれは、/ k /以外の子音では起こらない。
これを式で表すと、以下のようになる。
i,u→Φ/k_+k
参考文献
田中伸一 『日常言語に潜む音法則の世界』 開拓社 2009
言語学が大好きな一般人のブログです。
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大学院で言語学を学びたい大学生が、日々の勉強の成果を記録してゆく為の、個人サイトでした。
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